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第3話
「ああもう!!信じられない!!」
今にも泣きそうな顔でそう叫ぶ燐は、慌ただしく地面に散らばった服を拾い上げていた。
ま、確かに、急降下をした直接後の俺の記憶が正常ならば頂けないことをした俺に全面的に非がある。
だが、ソレに応じた燐にも多少の非は被って貰いたいモノだ。
そう思いつつも、まだ収まりつかない俺の下半身に俺自身が呆れた。
しかも、「稜ちゃんの絶倫!!」と燐に罵倒されるまで自分がこんなにも性欲馬鹿だったとは思わなかったし。
とは言え、燐のご立腹は身体中に付けた鬱血痕と青姦ではないから、質が悪い。
「だから、ゴメンって謝ってるでしょう?」
取り敢えず俺はそう言って、地面に散らばった自分の服を拾いながら身に付けていくが、燐は何一つ身に付けていなかった。
このことからも窺える燐の怒りは、もうホントに面倒臭いの一言である。
「何、ソレの言い方?謝ればイイって言う問題じゃないでしょう?」
燐はぷりぷりとそう怒って、信じられないと言って来た。
こう言う台詞を吐き出して来ると、もっと厄介になる。
へそを曲げたお子ちゃま燐は梃子でも動かないのだ。
俺は一つ溜め息を吐き出して、
「じゃ、どうすればイイ?」
そう訊くと、燐は俺に自分のボクサーパンツを突き出して来て、「洗って」とコレまたハチャメチャなことを言って来る。
況してや、汚れたパンツを人様に洗わす行為に羞恥の欠片もないようなのだ。
だから、
「ね、燐、一つ聞いてもイイ?」
俺がそう燐に訊くのは、決して、燐の汚れたパンツを洗うことが嫌なワケじゃない。
当然、燐は洗ってくれないのと言う不機嫌そうな顔でこう言う。
「何?」
と。
俺は呆れたと言う顔でそんな燐に近付いた。
この際、洗って貰って当然だと言う燐の感性は置いといて、俺はこう口を開いた。
「こう言うこと、俺以外のヤツにも言ったりするの?」
そして、燐のボクサーパンツを掴んで、裸体の燐を自分に引き寄せるのは、俺の嫉妬心。
俺以外にもこんなこと言ってんのなら、嫌ってほどこの身体に覚えさせないといけない。
だが、燐は大きな瞳を見開かせて、次の瞬間には顔を真っ赤にさせていた。
「なっ、ワケないでしょうっ!!こんなことしてくるの、稜ちゃんだけだよっ!!」
付き合ってもないのに、キスとか、セックスとかして来るの………と最後の方はもう尻窄みになっていたが、燐も今の立場にどうしようもない不安を抱いているようだった。
確かに、付き合ってもない俺らのこの関係をどう示したらイイかは、一目瞭然である。
そして、その解決方法も解っていた。
だが、俺の阿呆はソレを上手く活用出来ないヤツだった。
「じゃ、燐はどうしたい?」
卑怯な俺はそう燐に訊く。
そんな俺に抱き締められた儘の燐の身体が硬直したのは言うまでもないだろう。
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