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第4話
だから、沈黙後の燐が発した言葉は俺が思い描いたようなモノではなかっことは勿論、俺の選択ミスで燐を手に入れ損なったこともお分かりであろう。
燐は燐で「どうしたいって言われても、俺、解んないよ」と泣きそうな顔をして、その儘顔を伏せてしまった。
「何で、稜ちゃんが決めてくれないの?」
とも、言うのは恋愛経験がないからだろう。
ソレもそうだろう。
燐はゲームに関しては王さまだが、こう言うことに関しては素人以下。
特に男の子同士なら、無垢と言ってイイほど何も知らない(ハズ)。
高一の男の子だからキスやセックスに疎いと言うことはないだろうから、そつなくこなしてくるが、人付き合いと駆け引きは物凄く子供過ぎるのだ。
零か壱しかない燐に「俺に告白して来い」と言うのはレベルが高過ぎた。
ココは俺が折れて、素直に俺から告白していれば、今頃はあの尖らせた唇に俺のキスが注がれていたことは間違いなかったのに。
ホント、こう言う勝ち勝負を自ら捨ててしまう俺ってどんだけ阿呆なの?
そう今更、後悔しても遅いから俺は取り敢えず燐の前髪をそっと掻き分けた。
「じゃ、考えて?燐は俺とどうしたい?」
俺は燐とこう言うことをするのは嫌いじゃないよと言う。
「そうだね?燐がちゃんと考えてくれたら、燐のボクサーパンツ、洗って上げるよ?」
などと、そんな阿呆なことを言う俺の口をホントに殴りたい。
「ねぇ、燐、どうする?」
燐の前髪に軽く口付けを落とすと燐の小さな肩が揺れた。
裸体の燐は素直でイイ子である。
「………俺は、…………」
そう言って、僅かに揺れる燐の吐息までが聞こえて来そうなくらい、辺りが一気に静まり返った。
のも束の間で、燐の怒りが轟く。
「そんな稜ちゃんなんて大っ嫌い!!」
そう叫んで、燐は俺からボクサーパンツを奪い取ると裸の儘、走り去ってしまった。
ショックの余り放心してしまった俺は数秒奇声を上げながら復活する。
「ーーーーーーーーーええええっっ!!」
ちょっと待ってよ!!と直ぐに燐の後を追ったが、俺は燐を捕まえることが出来なかった。
あんな格好を誰かに見られたら大変だ。
多分、襲いはしないと思うが、襲われたりしたら流されやすい燐はイイ餌食である。
「燐、ゴメン。俺が悪かったから」
その格好で走るの止めてっ!!と大声で叫べば「稜ちゃんのヴぁか!!」と、ファイアウォールを投げつけられた。
「ひやああああぁ、燐、止めて~っ!!」
トロイの木馬を身に付けている俺は大きな悲鳴を上げながら、襲って来るファイアウォールを障害物のようにその上を飛び越えていく。
直撃したら、即死モノ。
手加減と言うか、ホントに本気しか出さない燐に俺は白旗を振った。
「燐っ!!俺はお前が好きだーーー!!」
と。
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