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第9話 お茶会
「お茶会を開こうと思うの……!」
「お茶会、ですか?」
王妃さまことお母さまからのドエロいレッスンはさておいて……。俺はこの国のマナーレッスンをせっせと磨きながら、子ども向けの小説くらいは読めるようになってきた。
因みに子ども向けとは言え、お姫さまと王子さまのお決まりラブストーリーと言えどもこの世界にいるのは男だけ。子ども向け……例えば日本で言う小学校の図書館にあるような本でも全てBLであるっ!!うぐっ!喜んでいいのかどうか分からないけどしょうがないじゃんこの世界男しかいないいぃぃっ!!!
「王妃の私とたといちゃん、それから守護者の運命の番ちゃんたちとのお茶会よ~~!守護者も陛下やシュイと仲良くやっていかなきゃいけない以上、私たちも交流会をしなくちゃね。この国では割と伝統なの」
お母さまの言うことはごもっともだし、国を守る守護者と王家の関係が良好なのに越したことはない。――――――けど、守護者の運命の番なら、
「心配しなくても大丈夫よ。イルちゃんの番は来ないから」
「……えっ」
「未来の王太子妃に嫌がらせ、宮から追い出すだのいろいろとしたじゃない?まぁ、それでウチの子と出会えたわけだけど、それで罪がなくなる訳じゃない。王妃の私から茶会に招かれないのも醜聞のひとつになる。これも罰のひとつね」
まぁ、王妃さまに睨まれたらさすがに不味いよなぁ。
「ウチの国、他の国と違って守護者もたくさんいるんだもの。黒兎ちゃんは戦闘向きじゃないけれど、王の寵愛を受けるほど、守護者って大事にされるものよ?因みに今の一番はロウね。いいえ、昔からずっとだったかしら……?」
「え、ロウさんも守護者!?」
最初の謁見の時、他の守護者もいたそうだが、ロウさんは陛下の側に控えていたから分からなかった!
「そうそう。守護者への予算や報酬は一定だけど、やらかしたら減らされるし」
確かにイルは、予算減額、報酬も減らされたんだっけ。
「国からの仕事を割り振られなくなったら報酬も減る。黒兎ちゃんは特殊な能力だから別として、他の守護者の仕事をどれだけ割り振るかは陛下が決めるの。その後継者はシュイ。だからね、その番を大切な番をないがしろにしたら、罰を受けるのは当然。守護者って特別な立場だからってその運命の番が足を引っ張るようなことしちゃ、いけないでしょう?いくら守護者の運命の番だって、やりすぎたらそれ相応の罰が下るし」
「それ、前にも聞いたような?……でも実際はどうなるんですか?」
「守護者がその次代の守護者を迎えて引退するまで粗末な離宮で永年蟄居。予算も慎ましやかに暮らすくらいしかでないわ。世代交代をしたら報酬も出なくなるから、少ない年金で永遠に暮らすの」
「なんか、地味に来そうです」
「来てたわね」
うわ、実際にやらかした運命の番、いたんだ。
「守護者がいなければ国が傾き、魔獣、天災などの被害が大きくなると言われているの。だから守護者を罰したり、その支えになる運命の番とは離せないの。だからこう言うところでしっかりとオシオキはしてあげないとね?」
ひぃ――――――――っ!?お母さまの顔が恐いぃぃっ!?
「あとぶっちゃけ陛下の方が守護者より強いのよ。もう絶滅しちゃった攻め竜人の血が色濃く出ているから」
どった――――――――んっ!!
「でもそんな奇跡も、きっと一代限り。竜人は異世界から受けちゃんしか来ないし。攻めとして、竜人として生まれた陛下はある意味奇跡よね。だから次代のためにも守護者の血は絶やせない。だから適度に親として罰は与えつつ、次代に繋げていかないとね」
まぁ、確かに父子だもんなぁ。
「陛下だけで全てを守れる訳じゃないし、竜神から遣わされた守護者とその伴侶。大事にするのもこの世界の住人の役目でしょう?」
にこりとお母さまが微笑む。
「もちろん、召喚者はみんな神から遣わされたと考えているから私たちも保護をするの」
「でも俺は守護者の運命の番とかたいそうなもんじゃないし」
「それでもね、王家は竜の血、――――竜神の血を引いているから、神の子孫。その伴侶のたといちゃんも大切な存在よ。それに召喚者たちは別の世界のいろんな知識や物語を届けてくれるの。保護してなんぼよね」
た、確かに――――――っ!!
「あと、オメガバースって面白そうよね!」
ぎゃーっ!?こっちの世界にオメガバース輸入されてんじゃん!?
「あと、蛇族のヘミペニス2輪挿しを持ち込んだのも――召喚者よ」
「なぬ――っ!?」
「で、たといちゃんはもう、2輪、挿してもらったの?」
「ひぃーっ!?いいえ、無理ですぅっ!!」
「最初はみんなそう言うの。でも大丈夫っ!蛇族には絶倫が多いから。ちゃぁんと気持ちよくしてくれるわよっ!あん、でも陛下も絶倫だから……遺伝もあるわね……!」
確かにシュイは絶倫だけど、そう言う問題じゃねぇっ!!そして陛下の絶倫情報、そこいるぅっ!?
「そして、お茶会だけど、緊張しないでね。今夜はパジャマパーティーと言う名のお茶会をすることにしたの!」
は!?ぱ、パジャマパーティー!?これも召喚者からの輸入!?
――――――――と言うか、パジャマパーティーをお茶会に含んでいいって初めて知ったよ、俺。
他の世界では通用するのか分からんけどな。
「だからお母さまとたくさんエッチなお話、し・よ・う・ねっ!」
それ俺の知ってるパジャマパーティーと違くないっ!?恋バナとかするんじゃなかったっけ!?エッチなお話をお母さまとするパーティーだったかなそれぇっ!?そして既にお茶会じゃないしそれっ!ただのエッチな話する会だわそれ!お茶会とは多分、――――――呼んでいいのかっ!!?
「さぁ、楽しみねぇ。イルの番ちゃんはお留守番だけど。攻めたちは攻めたちで、イルも招いて陛下に召集されてるから目一杯楽しめるわよっ!」
いや、陛下が召集を!?
「陛下もシュイも一晩番と過ごせないイライラと戦いながら守護者のみんなと飲み明かすって、気合い入ってたのよ~~っ!」
気合いって、番と過ごせない鬱憤ぶつけるだけでは!?て言うか陛下と一緒にそれに加わるって、シュイも間違いなく陛下の息子だよ!!
「イルにとってもいい灸になるわね。他の守護者たちは巻き添えなんだけど」
巻き添えかよ――――――っ!!トゥキさん普通にいいひとそうだったけど、ロウさんも真面目ないいひとそうだったのに巻き添えって!!ますますイルに非難の目が……いや、それが目的なのかもしんない。俺はふと、悟った。
このパジャマパーティーはイルへのささやかなネチネチしい罰から派生したものだと!!
お母さまの妖艶な微笑が、それを物語っている気がした。
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