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第24話 シュイとたとい・前
【Side:たとい】
――――事件は、王太子夫夫 のとある夜に起こった。
「ちょっ、シュイ!起きて!トイレ!!トイレに行きたい~~っ!!」
王太子妃である俺は、急いでシュイを起こすために叫んだ。
別に、夜中トイレにひとりで行けないと言うわけではない。では、何故か。それは……。
「んん、たとい?どうした、夜中に私が恋しくなったのか?挿れてやろうか」
「ち、違うって!!シュイの蛇体が巻き付いててトイレに行けないのぉ~~っ!!」
「私のは、要らないのか……?」
ぐいっ、ぐにぐに
シュイが寂しげに股間を擦り合わせてくる~~っ!?
「や~め~て~っ!!尿意が!ヤバくなるから刺激せんといてぇ~~っ!!」
「む、たとい」
「と~い~れぇ~~~~っ!!!」
※※※
シュイは不満げであったが、何とかトイレに行くことはできた。
ずず……、
ずずず……、
シュイの蛇体、巻き付いたままだけども。
蛇体は一度解いてくれたものの、しっぽの先っぽを俺の身体に巻き付けて、再びくーくーと寝てしまったシュイ。
仕方がないのでシュイのしっぽ付きでトイレに行くことになった。
蛇体の海を這うように移動し、やっとのことで寝室を抜ければ、トイレへと急ぐ。
しかしトイレに向かう間もシュイの蛇体付き。蛇体が床を這いながら、伸びて付いてくる。
やっぱ長いよなぁ、シュイの蛇体。
幸い、蛇体も這って動いてくれるので重くはないのだが。でも、これさぁ――――。
俺はトイレの便器の前に立って気が付いた。
うぐ、蛇体巻き付いたままだからトイレの戸、閉められないっ!何つー、羞恥プレイっ!!
因みにシュイの宮のトイレは、シュイの蛇体用、あと二足歩行時用がある。
二足歩行時用は、日本でもお馴染みの男性用便器と洋式風の便器。
さすがに蛇体用は俺、使えないし。前に興味があってチラッと覗いたら、マジで蛇用のでっかいやつだったよっ!!円形の浅い風呂みたいだったけど、これがトイレだと教えられて驚愕した。
――――よかった、あれがトイレだって事前に分かって。
危うくホテルなんかでよくあるトイレとバスが一緒になってるやつかと思ったわ。
あと、嬉しいことにこの世界ーー少なくもこの国のトイレは魔動水洗トイレだ。庶民のお宅にも同じく魔動水洗トイレが普及していると言う。あぁ、水洗トイレ素晴らしい。
むぁ、シュイの宮ーー王城のトイレは高級ホテルのトイレ並みに豪華で広いのだけど。
あと、湯船もあるからね。個人風呂やでっかい湯殿を持つのは王族貴族、金持ちだけだ。でも町には必ず公衆浴場があって、国営だから国から予算が出るし、安い料金で入れる。平民が毎日入ってもちゃんと食べていけると言う。
何か、今の陛下の治世でそう改革が行われたらしく、衛生面も向上したらしい。陛下、めっちゃ有能っ!あのひとが陛下で良かったぁ~っ!
――――と、まぁここまで解説したわけだが、俺はケツをトイレの外に向けて出したまま、用を足し終えた。
うぐっ、は、恥ずかしいけど、尿意には抗えんっ!!
それに豪華な宮のトイレの雰囲気で、きっとこの恥ずかしさも帳消しだっ!!
俺は男性用便器ーー小便器の上に備え付けられた蛇の形をした自動蛇口に手を差し出し、自動で出てくる温水で手を洗う。
てか、地球でこう言う小便器に手を洗うトコーー手洗い器付いたタイプ開発されだしたの最近じゃなかったか!?どんだけ進んでんの、この世界のトイレ!!しかも石鹸出てくるトコ付き!
あ、因みにお母さま情報だと、陛下とお母さまの宮でも蛇の蛇口らしい。あと、石鹸でるトコはち○この形をしているのだと言う。もちろん2本。
『陛下が私のから出ているみたいで毎回とっても興奮してくれそうでしょ?因みに私が発案したのっ!陛下もめちゃくちゃ気に入ってるんだからぁっ!』
……と、言っていた。それが目的ですかぁっ!!
因みにお母さまが使うのは、蛇用のトイレだとか。だから完全に、陛下に使わせる用である。
そして更に、
『あぁ、でも出てくるのは石鹸だもの、吸っちゃダメよ?啜るのは、シュイのだけにしなさいねっ!』
……とのことだった。
いやいや、さすがに啜らないけど!?石鹸出てくるトコからは啜らないけど!?
――――因みに、もちろんこちらのトイレの石鹸出るところも2本である。
そうかっ!!シュイもかっ!!やっぱり母子おぉっ!!
――――――だが、快適であることに代わりはない。あと、洋式の方にはウォ○ュレットが付いているのだ。
もち、出てくる棒は2本だけどねっ!!
でもウォ○ュレットも快適なんだよだから使うけども!!
――――ふぅ、トイレ解説していたら、ちょっと元気がでた。もう、早く寝室帰ろ。
そしてトイレを後にしようと振り返れば。
「おや」
「たといさまっ!?」
トイレの戸の向こうにひと影があった。そこにいたのは。
「ぎゃあぁあぁ――――――――――っ!?な、何でえぇっ!?」
そこにいたのは、ロシュさんとアオイくんだった。
ほんと、何でここに!?
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