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第25話 シュイとたとい・後

【Side:たとい】 「ど、どうしてふたりが、ここにっ!?」 「いや、宮の中を何かが這うような音がしたので、シュイさまかと」 と、ロシュ。あ、蛇体引きずってたから!? 「いつもよりも雑な音でしたし、主からの用向きかもしれませんので、念のためですよ」 いつもよりも雑な音って、聞き分けられるの!?ロシュったら、有能通り越してヤバすぎ! まぁ、シュイの蛇体も重くないように動いてくれたとはいえ、いつものシュイするするとした動きではなかったかも。 ――――あ、俺も割とシュイの蛇体の動き、覚えてる?這う音の違いまではさすがに分からないけども。 「それにしても、その、これは一体?」 と、アオイくん。まぁ、そうだよね!?番の蛇体巻き付けてトイレだなんて普通じゃないかも。つか、普通の蛇族はこんなにしっぽ長くないから、しないよね。 ――――あ、そこで気が付いてしまった。 ロシュさんと、アオイくんの蛇体のしっぽの先!!お互いに絡めてるぅっ!! こ、これはっ 「あぁんっ、萌えええぇぇっ!!!」 多分、番がアオイくんじゃなきゃ、こんなにも萌えはしなかっただろう。でも宮の誰もが頷くみんなのアイドルアオイくんだぞ?そのアオイくんが、ロシュさんとしっぽ絡めとるうぅっ!! 「ぐふぅっ、うぅっ」 俺は、がくりと膝を付いて崩れ落ちた。 「た、たといさまっ!?」 急いで駆け寄ってくれるアオイくん。眩しすぎる、優しすぎるよアオイくん。 うぅ、異世界で心細くて弱り果てた俺の心に、アオイくんはありったけの癒しをくれたんだ。そして、今もっ!! 「いや、アンタね。シュイさまに抱き潰されても知りませんよ?」 「ふべ?」 アオイくんに鼻血を拭いてもらっていれば、呆れたようなロシュさんの声が聞こえた。 「たとい」 ひっ!! 何だか、スゴイ感じる。フラグを感じる。 ぎゅむむっ 俺の身体に巻き付いたシュイのしっぽがキュッと絞まる。 「や、あ、シュイさん、ちとキツいんですが」 びくびくしながら振り返れば、そこには……。 いつの間にかシュイがいた。 「何だ、さっきのは」 「さっきのって、何?」 何のコトー? 「アオに随分とアハンな声を出していたな」 「アハンて、お前さんんんっ!?お母さまに比べれば全くアハンやないでっ!?」 俺のアハンレベルなんて微々たるもんなんだから! 「少し、躾が必要なようだ」 「え、何躾って」 首を傾げ、アオイくんとロシュさんを振り返れば、アオイくんはきょとんとしているが、ロシュさんはやけにニコニコしている。 「私の番にアハンアハンした罰です」 と、ロシュさんがにっこぉっと恐いくらいの笑みを浮かべる。 「んなああぁっ!?」 「え、ちょっ、ロシュさまったら何を?」 そんな中、アオイくんはあたふたして、かわいすぎるわあぁっ!! くっ、でも、でもね、 「嫉妬攻め受け溺愛っ!!」 そんなロシュさんにも萌えつつある俺。でも仕方がないのだ。勉強のために読んでいる小説は、全部BLなのだ。だってこの世界、男しかいないんだもの。必然的に全部BLになるんだよ。しかも、異種×異種、時々異種×召喚された人間or竜人コアなトコ行くと人狼おぉっ!! 「そうか、たといはそう言うのが好きだったな」 「え?」 「安心しろ、今夜は嫉妬深く何処までもでろっでろに溺愛してやる。むしろそれは蛇族の本分でもあるしな」 は?いや、その、これつまり俺がされるの?うん、それ以外の選択肢なんてないと分かってるけど。 「さ、行こうか」 そう言って、シュイは俺の身体に蛇体を更に巻き付けて宙に浮かせると、ずりずりと蛇体を這わせながら俺を寝室へと連行した。 「あ、あの、ロシュさま?」 アオイくんは心配そうにロシュさんを見上げる。 「大丈夫です、アオ。これからはおふたりの蜜の時間です。さ、私たちも行きましょうか」 「そ、それなら。たといさま、お休みなさい」 ふんわりと微笑むアオイくん、癒される。そしてその横でアオイくんを抱き寄せながら黒い笑みを浮かべてるロシュさん。あああぁあぁっ、この行き場のないもやもやはどうしたらぁ~~っ!! 「さて、と」 気が付けばそこは夫夫の寝室。ベッドの上。シュイは蛇体を寝室の中にしっかりと収納し、さらに俺の身体に蛇体を絡めながら舌なめずりをする。もちろん3本もある、スプリットタンを妖艶に絡めながら。 「ひええぇっ」 「ほら、たとい。今夜は寝かさない」 「そんにゃああぁっ!!!」 もちろん、このあと散々あんあん鳴かされたことは、言うまでもないのである。

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