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第7話

生温かい感触に体が震える。驚いて義兄が掴んだ手を引いた。 「……なっなにすんの!」 「ん……大輔の味がする」 「はぁ?!」 「冗談だって」 「え!? ちょっと…!」  義兄は俺を連れてキッチンへ入り、蛇口を捻った。俺の血が滲む指を水で流し、顰めた俺を笑った。 「大丈夫、傷そんな深くないみたいだ」  義兄の口元に目をやる。俺だけが変に意識して、義兄にとっては大した事じゃいかもしれないけど、俺は男が好きでそれを隠すの精一杯だった。あまり触れ合った経験が少ない。 「あの風鈴」 「……え?」 「あの風鈴、この辺りの小さな祭りに行った時、綾乃が買ったものなんだ。赤い金魚が私と大輔。黒い大きな金魚が貴方よって……」  義兄の辛そうな顔初めて見た。俺の指に大きな手が器用に絆創膏を巻き付けた。 「……ありがとう」 「明日、命日だから綾乃が使っていた机の引き出しを整理してたら風鈴が出てきたんだ。出したばかりなのに……」 「義兄さん……?」 「……綾乃…怒っているのかな…俺をだから一人にしたのかな……」 「なんで姉さんが怒るんだよ…義兄さんは一人じゃない…俺がいるじゃないか」  俺は力なく座り込んでしまった義兄を抱きしめていた。姉が亡くなってから今まで、泣いているとこ見たことなかったのに…… 「ああ、そうだな…でも俺は最低なんだよ」

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