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第10話
「大輔、寝るんだったら布団引いてやるから」
「……ん」
「そんな強くないのに飲むからだろ」
「……そんら事ないもん! 酔ってらい!」
「ったく、充分酔ってんだよ」
「痛っ!」
叩かれた頭を押さえて寝っ転がった。久しぶりの畳の匂いに懐かしくなった。
「ってか、義兄さんはどこで寝るの?」
「ここで寝るよ」
「えっ……そうなのじゃぁ…俺、自分の部屋で寝るよ」
「エアコンがここしかないんだ」
「そうだったけ?」
「ああ、大輔の部屋のエアコン壊れててさ」
「じゃぁ、義兄さんの仕事部屋は?」
「そんなに俺と寝るのが嫌か?」
「そんな事ないけど……」
「おやすみ」
「……おやすみなさ……い」
睡魔に堪えきれず自然と目が閉じていく。どこかで義兄の気配を感じながら、ひやりと気持ちのよいシーツの感触に頬をすり付けた。なんだかとても懐かしい太陽の匂いがした。
……ん、寒い……
背後に心地よい温もりを感じて一瞬ほっとした。また目が閉じていく。体に巻き付く腕が俺を引き寄せた。
首筋に寝息がかかる。驚いて離れようとすると義兄の腕がまた俺の体を引き寄せた。俺の腕に義兄の腕が触れる。背中に感じるゆっくりとした鼓動に反して俺の鼓動は早くなる……
「……あ…やの」
「……ごめん…俺、やっぱ……好き……だ」
分かってたじゃないか。今でも姉さんの事好きだって、だからって俺を姉さんと間違えてこんな……
義兄の腕を乱暴に退かした。
「……大輔……俺……」
起きたのかと義兄を見たが寝息を立て気持ちよさそうに寝ていた。
人の気持ちも知らないで!
俺は義兄を睨みつけ居間から出て行った。
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