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第11話

   あれから結局、寝れず外が明るくなり始めた。俺はキッチンで無心になって朝食を作っていた。こうでもしないと落ち着かないからだ。特に難しい料理は作れないが、姉を手伝って作っていたものくらいは出来るようになった。    姉はあんな優しく義兄に抱きしめられていたんだろうか。そりゃそうか夫婦なんだから……  二人が結婚する時、祝福するって決めたんだ。義兄弟という関係で繋がっていられるならそれでいいと思っていた。 姉が亡くなるまでは……  最低なのは俺の方だよ義兄さん……  姉が亡くなった今も姉の傍にいるのは、まだ思ってくれているからで俺が入っていけるわけない。まして、義兄は俺と違ってノーマルだ。絶望的な恋でしかない。 「……おはよう」 「びっびっくりした」 「そんなびっくりすこたないだろ」 「や……ちょっと考え事してて」 「そうだろうな。さっきも声かけたけど全然気付かなかったから」 「あ……ごめん、気付かなくって」 「はい、これ」 「なに? 蚊取り線香に虫除けスプレー?」 「今日の花火大会一緒に行こうと思って」  姉の命日の日は、この辺りで一番の夏のイベントの日だった。 「うん、そうだね。行こう」 「決まりだ。で、どうしたんだこんなに作って」 「……やる事なくてさ。出来たから食べよう」  義兄は頷いて出来た料理を居間へ運んだ。俺は二人分のご飯と味噌汁を持ってキッチンを出た。

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