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第12話

「はい、義兄さん」 「ありがとう。いただきます」 「どうぞ召し上がれ」 「うん、旨い! 腕上げたな。俺より旨いよ」 「そんな事ないよ」 「でも、味噌汁濃い気がする」 「そう? あっ本当だ」  俺は味噌汁を飲んで顔を少し顰めた。考え事しながらしてたからだ。 「大丈夫か、昨夜寝れなかったんじゃないのか?」 「ちゃんと寝れたよ」 「そっか、ならいいけど。俺、少し仕事があるからゆっくりしてて」 「……分かった」 「そんながっかりするなよ。夜は花火大会行くだろ」  顔に出しているつもりはないのに、どうも顔に出ているらしい。あからさまに花火大会と聞いて、笑顔になってしまった顔を引っ込めた。そんな俺を見て義兄が笑った。赤くなった顔を隠すように俯き卵焼きを頬張った。 「ごちそうさま。美味しかったよ」 「ああ、うん……」  義兄は食器を持って居間から出て行った。

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