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第10話 翌日 ④
「いってらっしゃい」と晴人を送り出してから、まだ自分の部屋に戻りたくなかった瑞稀は、1人晴人の部屋に残っていた。
室内は綺麗だが、一応掃除をしてみたり、洗濯機を回してみたり、することがなくなったので、ひとりお茶を飲んでみたり…。
「まだ帰りたくないな…」
ポロリと気持ちが言葉になる。
晴人の部屋に来た時は、いつも帰りたくないのだが、そんなことを言えば晴人が困ると思い、今まで言ったことはなかった。
でも今日は晴人はいない。だから今日は特別、晴人の部屋に残ることにした。
今日は、晴人さんの部屋から出勤しようかな?
晴人の部屋の合鍵をもらっていたが、今までつかったことがない。
今日、使っちゃう?
晴人と同じキーケースに入っている合鍵を鞄から取り出し机の上に置く。
キッチンの戸棚には、瑞稀専用の食器や箸があって、クローゼットには晴人からプレゼントされた服がたくさん入っていて、いつでも泊まれるようになっている。
なんだか、一緒に住んでるみたい。
そう思うと、胸がドキドキ、ワクワクするし、ソワソワもする。
本当は仕事に向けて、少しでも睡眠をとったほうがいい。
少しの間だけ、ベッドお借りしようかな?
瑞稀は寝室に向かい、ベッドに横になると、寝坊防止にスマホのアラームをセットし、晴人の香に包まれ…。
すやすや寝息をたて、深い眠りについていた。
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