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第20話 進展 ③
「晴人さんのことが好きだから。大好きだから……」
「うん」
「もっと晴人さんのこと知りたくて、一緒にいたくて……ー
「うん」
伝え出したら止まらなくなる。
「離れたくなくて……。晴人さんのそばにいるだけで、僕は幸せなんです」
「ありがとう瑞稀。嬉しいよ」
晴人は瑞稀の髪にキスをする。
「俺も瑞稀のことが大好きで、瑞稀のことをもっと知りたくて、一緒にいたくて離れたくない。瑞稀のそばにいられるだけで幸せなんだ」
「……」
「俺も瑞稀と同じ気持ちだよ」
晴人に見つめながら言われると、瑞稀の心に温かいものが流れてくる。
「瑞稀を初めて見た時、天使に出会ったのかと思った。心臓が締め付けられて、苦しいほどに心拍が上がって……、もう瑞稀以外、何も目に映らなかった。一目惚れだったんだ」
瑞稀の目をしっかりと見ながら、晴人は続けた。
「でも瑞稀を好きな気持ちはそれだけじゃない。瑞稀は誰にでも平等で、どんなに酷い言葉を投げつけられても、決して卑屈にならず立ち向かっていく強さにも惹かれたんだ。俺はそんな瑞稀だから好きになった。瑞稀が何かの役に立つからとか、そんなんじゃない。そのままの瑞稀が好きなんだ」
「晴人さん……ー
晴人の気持ちが瑞稀の中に入ってくる。
「俺は瑞稀とずっと一緒にいたい。愛してるよ、瑞稀」
そういうと、晴人は瑞稀をもう一度、抱きしめた。
今度は優しく、優しく包み込むように。
瑞稀は今までずっと晴人とは、いつか別れないといけないと思ってた。
その覚悟をしておかないといけないと思っていた。
晴人が自分のどこを好きになってくれたのか?
どこがいいのか?わからずにいた。
だが、晴人の気持ちがわかった今、瑞稀の中にあったモヤモヤした気持ちが、霧が晴れるように無くなっていく。
「僕も……僕も晴人さんとずっと一緒にいたいです……」
晴人の胸に、瑞稀は顔を埋める。
「僕も……僕も晴人さんと一緒に暮らしたいです」
そっと晴人の背中に、瑞稀は腕を回した。
「それって……ここで一緒に暮らすってこと?」
期待しすぎてはいけないと、自分に言い聞かせながら、晴人が恐る恐る聞くと、
「はい!」
頬を赤らめた瑞稀は顔を上げ、大きく頷いた。
「ありがとう瑞稀!」
少年のように晴人ははしゃぎ、ガッツポーズをとると、そのまま瑞稀を抱き上げる。
いつもの晴人では想像もつかない姿に、瑞稀は愛おしさを感じる。
これからは、いろんな晴人さんと一緒にいられる。
そう思うと、1分1秒が大切で、1分1秒離れたくない。
今までは言いたくても言えなかった言葉。
でも、今はもう言える。
だから……。
「今日は……早く帰ってきてくださいね」
瑞稀は幸せを噛み締めながら、晴人の頬にキスをした。
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