27 / 111

第29話 ドライブ ①

 瑞稀のヒートが終わるまで、二人は愛しあった。  欲望のままでも、本能のままでもなく、お互いがお互いを愛しく思い、晴人は瑞稀を優しく優しく抱き、瑞稀は晴人の愛に包まれた。    二人で風呂に入り癒され、瑞稀の体を心配した晴人が、作った朝食をベッドまで運び、二人で食べる。  晴人も瑞稀も休暇を前倒しにし、家でパンケーキを焼いたり、瑞稀の大好きなりんごパイを焼いたり、晴人の好きなおはぎを作ったり。  いつもの料理ではなかなか作らない、スイーツを作った。  そして今日はレンタルカーを借りて、朝早くからのドライブデート。  目的地は晴人が決めたが、瑞稀にはそこに着くまで秘密。  こんなデートは初めてで、ワクワクする。  それに瑞稀は晴人との会話を楽しみながら、運転する晴人の横顔を眺めていたかったのだ。  レンタカー会社が開店するとすぐに来店し、淡い黄色のコンパクトファミリーカーを借りる。  以前、この車のCMを見た瑞稀が「かわいい」と呟いていたたのを、晴人は覚えていたからだ。    BGMはボサノバ&ジャズ系の癒しの曲。  高速を降りしばらくすると、海沿いの道にでた。  対向車線の大きくはない道路。  歩道には犬の散歩をしたり、ジョギングをする人がいたり、車道の隅にはスポーツ用の自転車に乗り、何人か縦に並んで走る人たち。  窓を開けると、潮風と波の音が車内に入ってくる。  快晴で海の水面もキラキラ輝き、穏やかな時間が流れていく。 「すごく綺麗……」  瑞稀がうっとりすると、 「瑞稀の方が綺麗だよ」  運転しがら晴人が言うので、瑞稀はぼっと顔を赤くする。 「冗談でもでもそんなこと言われたら、恥ずかしくなります!」  頬を膨らませながら。前を見ながら運転する晴人を見る。 「嘘じゃないよ。本当のこと」  信号待ちで車を停めた晴人は、膨らんだ瑞稀の頬を突く。 「絶対からかってます!」  ますます瑞稀が頬を膨らますと、 「あはは、本当に可愛い」  今度は頭を晴人は撫で、信号が青に変わったので、車を発進させた。  晴人に『綺麗だ』や『可愛い』と言われるのは嬉しい。  でも言われっぱなしは、自分だけ恥ずかしくなってしまう。 晴人さんは、いつも余裕。 よし、僕だって! 「晴人さんは、優しくて、カッコいいです!晴人さん以上に素敵な人はいません!」  いつも思っていることだが、恥ずかしくてなかなか言えなかったことを言ってみた。  全部本当のことだけど言葉にすると、言った本人の方が恥ずかしくなる。  先ほどよりますます自分の顔が赤くなるを自覚し、 自爆したかな?    瑞稀は少し反省する。  それでも晴人の照れたレア顔が見たい。  なのに晴人は、 「ありがとう」  と、恥ずかしがることなく、涼しい顔をしいて、瑞稀の言葉をそのまま受け取る。  思惑と違った晴人の反応に、 「もう、カッコ良過ぎてずるいです!」  瑞稀は残念がる。 「あははは。本当に瑞稀は可愛い」  楽しそうに晴人は笑った。

ともだちにシェアしよう!