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第108話 一つになる ②

「寝ちゃいましたね」 「寝てしまったな」  お風呂上がりに千景は晴人の膝の上に座り髪を乾かしてもらっている時、よほど眠たかったのだろう。千景はうつらうつら船を漕ぎはじめ、そのまま眠ってしまった。 「『寝る前にパパに絵本読んでもらう』ってあんなに楽しみにしていたのに眠っちゃうなんて」  何かしながら寝てしまうなんて、千景が赤ちゃんのときに、夕食を食べながら寝てしまった以来、もう何年もなかった。  なのに今日はもうぐっすり。  今日は引っ越しがあったり、公園で遊んだり。  千景も大忙しで、体力を使い果たしたのだろう。    晴人が千景を起こさないように抱き上げ、瑞稀と一緒にベッドに連れて行く。  そっとベッドに寝かせ、二人して千景の寝顔を見つめる。 「本当に可愛いな」 「はい。可愛いです」 「ずっと寝顔をみていたくなるな」 「はい、ずっと見ていたくなります」  二人顔を見合わせ微笑む。 「このままじゃ、二人してここで徹夜してしまいそうだ」  晴人はそういうと、千景の額にキスをし、 「本当に可愛い」  もう一度言った。 「千景が自分の子供だから可愛いのもあると思うけど、それ以上に千景という人間が可愛いくて守ってあげたいのが一番なんだ。千景の笑顔を見ていると、幸せな気持ちになる。嫌だとごねている時は、どうしてそれが嫌なのか理由が知りたくなる。一人頑張っている時は、隣りで一緒に頑張りたい。悩んでいたら、一緒に答えを探していきたい。何に対しても手を差し伸べ、楽な道を進めるようにしてあげたいんじゃなくて、何に対しても一緒に解決して、一緒に成長していきたい。俺も親として成長していきたいんだ」    瑞稀も晴人と同じ気持ち。  千景が生まれ始めて千景の顔を見た時、無条件に涙が出てきた。  離乳食が始まり好き嫌いが出始め、嫌いなものを口から出した時は、嫌なものを嫌だと言えるようになったんだと嬉しかった。  慣れ親しんだ保育園から、新しい保育園に変わった時、毎朝毎朝泣いていた時は胸が張り裂けそうだったが、泣きながらも手を振る千景に何度救われたか。  自分一人だけが頑張っているんじゃないと、気づかせてくれたのは千景だった。  千景は瑞稀は親子だが、一番の同志だ。  何があってもいつも一緒にいて、一緒に立ち向かって、一緒に乗り越えてきた。 「僕はも晴人さんと同じ気持ちです。僕も千景に人として成長させてもらっているっと思っています」  うんと晴人は頷く。  千景がいなければ今の自分はいない。  もっと言えば晴人がいなければ、人生に未来を見出せなかったと思う。   「僕は晴人さんと出逢えて、千景と出逢えて本当に幸せ者です。晴人さん僕と出逢ってくれて、僕を見つけてくれて、選んでくれて、探し出してくれてありがとうございます」  瑞稀は晴人の手に自分の手を重ねる。 「晴人さん、愛しています」  何度言ってもいい足りない。  何度も何度も伝えたい気持ち。  晴人を愛している気持ち。  多分、一生言い続けても、瑞稀が晴人を愛しているの気持ちは言い足りないと思う。 「俺もだよ。瑞稀、俺と出逢ってくれて、見つけてくれて、どんなに時間がたっても何があっても俺を選んでくれて、千景に出逢わせてくれて、ありがとう」  晴人はふわりと瑞稀を抱き上げる。 「瑞稀、愛してる。本当は瑞稀のご両親に挨拶に行かせてもらってからって思ってたんだけど、それまで待てそうもない……。大切にする。幸せにする。もう絶対に離さない。一緒に楽しい家庭を築いていこう」  瑞稀は晴人の目を見て、大きく頷く。 「瑞稀。俺と番になってくれませんか?」  瑞稀の目には涙が溜まり、 「はい」  返事をしたと同時に、涙が頬を伝った。  幸せの涙が。 「絶対に僕に触らないでくださいくね……」  そう言うと、右手で楔を擦り上げ、左手の人差し指を後孔から中に入れた。  瑞稀からは晴人の様子はわからないが、熱い視線が突き刺さり、身体の奥から興奮と羞恥心が生まれる。  楔からの蜜はシーツに垂れ、後孔に入れる指を二本、三本と増やす。  時折わざと指と指との間を広げ、中を見せつけた。  晴人が手を伸ばそうとすると、「ダメ……」と制し、自ら弱いところを刺激する。 「晴人さん…見て…見て…、っぁぁ…」  後孔がピクピクし中の指を締め付け、腰を振る。 「見てる、見てるよ瑞稀。ああ、なんて綺麗なんだ……。綺麗で艶かしくて頭がおかしくなりそうだ……」  晴人は背後から瑞稀に覆い被さり、首裏から背中にかけて、尖らせた舌を這わせる。  瑞稀の肌と晴人の肌が重なる。  晴人の体温が直接伝わり、気持ちが高まり興奮する。  晴人は瑞稀の中には入れず股の間に自分の楔を入れ、瑞稀の楔の裏筋に擦り合わせ、腰を振る。 「ひゃ……ああぁぁ……」  まるで晴人の楔が中に入ってきて内壁を擦り上げられられているようで、全身がわななく。 「想像して。俺のが瑞稀の中に入って、瑞稀の好きなところを擦るんだ。突き上げたり、浅いところばかり責められる。そして一番奥の壁を押し上げられて、かき混ぜられてるところを」  晴人の言葉は呪文のように頭の中に入ってくる。  まるで今、責め立てられているような気持ちになり、子宮がきゅんと疼いた。 「でもそれじゃあ前が寂しいね。じゃあ中に挿れる前に、前を可愛がってあげるよ。割れ目を爪で引っかかれたり、舌先で割れ目を広げられたり……。瑞稀、あれ好きだよね。たくさんしてあげるよ」  言葉で責められながら楔の裏筋を擦られ、想像してしまう。 「イヤだと言ってもやめてあげられない。だって瑞稀の『イヤ』は『やめないで』だろ?」  そう言いながら晴人も想像してしまっているのだろう。息遣いが荒い。  晴人は瑞稀を仰向けにした。 「瑞稀はどうして欲しい?」  そう訊く晴人の瞳の奥に野獣の光が宿る。  その瞳の光だけで全身がゾクゾクし、見つめられるとそれだけで達してしまいそうになる。 「晴人さんの好きなように、抱いてください……」 「いい子」  晴人はフっと微笑み、瑞稀の両足を大きく開かせると、股間に顔を埋め楔を口に含む。 「あああ、はぁぁぁ……」  舌全体を使い裏筋を舐められると、強烈な刺激が身体を貫く。  じゅるじゅると音を立てられながら吸い上げられ、尖らせた舌先を先端の割れ目にねじ込まれると、ビクンと身体が跳ね上がった。  睾丸を揉まれながら舌で扱き上げられ、時折、カリ首だけを舌先でくるくると舐めまわされる。  その度に内壁が震え、子宮は疼いて今すぐ晴人の硬く反り返った楔で突き上げて欲しい。 「晴人、さん……もう、挿れ……て……ぁぁッ…!」  顔は火照り、身体の力は抜けきり、晴人が欲しいと涙を流しながら懇願するが、楔を挿入してくれない。  むしろ後孔から流れ出る甘蜜を指に掬うと、後孔の周りだけ撫で、鈍い快楽だけを与える。  そして時折、指を少しだけ入れられ、弱いところのぎりぎり手前えを刺激される。  強く、弱く。  時に早く、ゆっくりと。  瑞稀を焦らすだけ焦らす。  先端から蜜が溢れ晴人に吸い上げられると、涙が流れ出るほど感じ、啜り泣いてしまう。  楔を舌でいじめられ、後孔だけ撫でられ、瑞稀の中に生まれたマグマのように熱い快楽の塊は、楔の根本に集まり、蜜を解き放ちそうになったその時。  晴人は瑞稀の楔の根元をキュっと握った。  行き場を無くした熱い蜜は瑞稀の身体の中に留まり、より熱を帯びる。 「今イってしまったら、止まらなくなるよ。だからイクの我慢できる?」  優しく髪をなでられながら言われると、瑞稀には頷くしか選択肢はない。  晴人は瑞稀の楔の根元を握ったまま、後孔から流れ出る愛蜜を押し込むように人差し指と中指を入れた。 「ああ、ぁぁぁ……ぁぁ……ッ」  指が中に入っにつれ、甘い吐息が漏れ、無意識のうちに晴人の指が弱いところに当たるように腰を振ってしまう。 「瑞稀、腰が揺れてるよ。それにこんなに濡れて」 「あっ、ぁ……んん…」  後孔を指でぱかっと広げられると、自分でもわかるぐらいに中からの蜜が流れ出て、太ももを伝う。 「晴人、さん…はや…く……」  はしたないほどに腰を振り晴人を誘うが、晴人は首を横に振り、瑞稀の中に薬指を入れる。  瑞稀の中に入った三本の指は不規則に動き、内壁を押し上げながら擦り、弱いところを一度ノックされた。 「ああああ、ぁぁぁ……ッッ!」  頭が痺れるぐらいの快楽に襲われたが、晴人に楔の根元を握られ、蜜を放つことはできない。  これ以上ないほど熱を持った快楽の塊は、瑞稀の身体の中でますます大きくなる。

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