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第13話 12月24日

宇宙人サンタのプレゼント配りを始めて4日目。 今日は12月24日だ。 昨日、バイトに来ていた橘から飲みに誘われたが、断った。 誘いを断ったのは、初めてかもしれない。 プレゼント配りがあったからというのもあるが、なんとなく、今は橘と一緒にいたくなかった。 その日の職質は一回で済み、無事に全てのプレゼント配りが終わった。 オレとサンタはファミレスにいた。 サンタはステーキセットを食べつつ、ワインも飲んでいた。 「いやいや、兄ちゃんのおかげで助かったわ!これで今日の夜、子どもたちは夢を見て、夢の種を見つける。25日の朝から新しい人生が始まるというわけや。」 サンタはほくほく顔でステーキを頬張る。 「すごくいい経験をさせてもらって、ありがとうございました。」 那央はパスタを食べていた。 なんとなく、最後はちゃんとサンタとごはんを食べたかったのだ。 「…兄ちゃん、ホンマにいい奴やな…。その謙虚な姿勢は宝やで。」 「自分は…自分がないまま生きてきたことが恥ずかしかったんです。でも、ちゃんと自分のやりたいことは、わかっていたんだって…。自分の感性に正直になって良かったんだなって思いました。」 「そっか。まず、自分に新たな気づきがあったなら、こっちも嬉しいよ。さて、早速お礼の件やけど、意中の彼を手に入れるでええか?」 「い、いや、その話ですけど…。やっぱりいいです。」 「なんで⁈」 「先輩の気持ちを魔法で無理に変えても、やっぱり嬉しくないです。自分で告白するかどうかは、自分で決めます…。」 サンタがまじまじとこちらを見ている。 「いや、自分、絶対告白せえへんやろ。」 「…………。」 「また、諦めるつもりやろ。」 「も、もう決めたんです。ちゃんと、自分でやりますから、魔法は、大丈夫です!」 「何が自分の感性に正直に、や!恋愛となると偽りまくりやん!じゃあさ、『一夜限り』ならどうや!」 「い、一夜、限り?」 「そう、一夜だけの恋人関係や。次の日には何もかも忘れとる。それならチキンな自分でも、まあ願いやすいんちゃう?」 自分の口元が緩んでしまってることに気づいて、手で隠した。 「ダ、ダメですよ…。今、先輩は、彼女と会ってるでしょうし…。」 「あー!!どこまでも他人が優先かっ!!面倒くさっ!!もう魔法かけちゃる!!」 「や、やめてください!」 そう叫んだ瞬間、那央はまばゆい光に包まれた。

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