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★第87話 翔優との夜

翔優がキスをしてくる。 男とキスをして、何が気持ちいいんだと思ってたけど、全然いい。 女の子とも違って、弄ばれる感がある。 唇を吸われたり、舐められたり。 もう……好きにして……と身を委ねる。 急に翔優がキスをやめた。 え?終わり? 「……今の……気持ち良かったですか? 」 「あ、うん、良かったよ……。なんか、チュッチュッして、遊んでるみたいだった……いい感じにイチャイチャで……」 何言ってんだ俺…… 「……樋野さんだとできるのですが、要芽さんだとできないんです……」 「そうなの?じゃあ、要芽さんだと思ってやってよ」 「わかりました……」 翔優は目をつむってキスをしてきた。 舌が無理矢理押し込まれ、舌を吸われる。 口の中を舐め回されて、もうキスなのかなんなのか。 「げほっ、わかった、わかったよ翔優君!君が藤波さんを食べちゃいたいくらい愛してるのはわかる、げほっ……」 思わず咳こんだ。 「……やっぱり気持ち良くないですか……」 「うん……快感を通り越して三途の川が見えたよ。絶対最初の方がいい」 「……でもあれだと、間がもたないような気がして……」 たしかに、その気じゃない藤波にあのペースで迫るのはイメージがつかない。 「樋野さんだったらどうしますか? 」 「お、俺? 」 男を抱いたことも抱かれたこともない俺には、レベルの高すぎる課題だ。 が、ここまで来たらやるしかない。 とりあえず翔優を寝かせて、添い寝をする。 翔優の体を感じて、においを嗅ぐだけでもなんだか幸せだった。 足を絡めた時に、自分のモノを押し付けた。 そっと翔優に覆い被さり、キスをする。 俺のキスは上手くないけど…… なんか、その、予兆みたいなドキドキ感大事だと、俺はおもうんだ。 伝わるかな……? 急に、翔優が樋野のゆかたの帯をほどいた。 あ、あれ、脱がされちゃう?? 翔優は体を起こしして樋野の上に乗り、樋野の浴衣を剥ぐと、乳首を舐め始めた。 「あぅ……あ……」 同時にアレをしごかれる。 ああ……天国ですかここは……。 「……下も舐めていいですか……? 」 「お……お願いします……」 翔優は樋野の足元に移動し、舐め始めた。 あうぅ…… イケメンが……俺のあんな大したものじゃないのを丁寧に舐めてくれるなんて…… 料理以外にそんな舌づかいができるんだね翔優君…… 時々、じゅるっという音が聞こえる。 徐々にしごく手つきが強くなってきた。 「あぐ……っ……イ、イキそう……っ!!」 純情な俺は、あっという間にイッてしまった。 情けない……もう少し楽しみたかった。 翔優が、そばにあったティッシュで拭いてくれた。 「あ……ありがと……」 樋野は起き上がり、自分でもそそくさと拭いた。 翔優がじっとこちらを見ている。 「あ、そうだよね、翔優君だって、気持ちよくなりたいよね……俺……どうしたらいい……? 」 「……頭をなでてほしいです」 「そんなんでいいの?頭なんて、何回でもなでてあげるよ」 樋野は翔優の頭をなでた。 翔優は嬉しそうにちょっとほほえんでいる。 「……要芽さんに頭をなでてもらうまでに、16年かかりました……」 「え!順序おかしいでしょ」 翔優は樋野に抱きついた。 そしてまたキスをする。 子どもが甘えるみたいに、ちゅぱちゅぱと唇を吸ってくる。 樋野も、翔優を抱きしめて、唇で遊んだ。 翔優は、セックスがしたいんじゃなくて、体で遊びたいのかもしれない。 翔優のを握ってしごいてあげる。 「あ……」 と、声を漏らした翔優は色っぽかった。 そうだよな、翔優君はいつもサーブする方で、サービスされない。 樋野は屈んで、膝立をする翔優のを口に入れた。 「あ……ん……」 翔優の艶めかし声が聞こえる。 うん、俺もまさか男のを咥える日が来るとは思ってなかった。 イケメンってすごいな。 しかも、こんなとこまでイケメンだし……と、樋野は思いながら、自分がされて気持ちいいところを舐めた。 「樋野さん……入れてもらえますか……? 」 ……え……何を?どこに? 翔優は、カバンからローションを取り出した。 俺が……翔優君の中に?? 翔優が後ろ向きになり、浴衣を脱いだ。 鼻血が出るかと思った。 キレイな肩甲骨とくびれた腰。 翔優は華奢ではないが、体の線が美しかった。 翔優が四つん這いになり、お尻を突き出す。 こんなのを見せつけられて、断る選択肢はない。 「や、やらせていただきます……」 「お願いします」 樋野は、翔優のお尻をつかんだ。 入れる方は女の子と変わりないはずだ…… グッと入れると、徐々に入っていく。 締まりが良くて、入れてるこっちも快感に息が漏れる。 「あう……っ!」 気持ち良くて、急に動いたら死ぬかもしれない。 「あ、あのさ、普段から……自分でもしてるの……? 」 「はい……いつ要芽さんがその気になってもいいように……」 あの別荘で、一人そんなことしてんのか…… 藤波と絡んでいるより、一人でしてる翔優を思い浮かべた方がエロかった。 「動かすよ……」 「……はい……」 樋野はゆっくりと動かし始めた。 ぬるぬると締め付けで樋野の呼吸は荒くなっていった。 「あっ……んん……っ」 翔優の喘ぎ声が聞こえてくる。 我慢できずに、強く腰を振る。 「ああっ!はっ、あっ……!」 翔優の声でこちらもさらに興奮する。 「あぁっ、あぁんっ……要芽さんっ……!!」 …… ………… ……………… ですよね!後ろ向きになのは、俺のコレを要芽さんに見立てるためですよね! わかってたけど! はい、がんばりますね! …… ………… ……………… 樋野は最後まで役目を果たした。 「ほら……今……要芽さんのが注がれてると思って……」 「……はい……」 翔優は枕を抱き、うっとりとしている。 途中で萎えなかった俺は偉いと思う。

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