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第13話 刺客 ③
何人もの刺客に襲われてた?
僕が?
狙われてたなんて、見覚えがない。
もしかして誰かが刺客から、僕を守ってくれてたってこと?
「俺が見つけなければ、どこかに連れて行かれて殺されていたかもしれないんだぞ!」
目の前で殿下に怒鳴られ、自分がしてしまったことの愚かさと、殿下の逆鱗に触れてしまったことで震えが止まらない。
僕はこの男と同じように殺されてしまうのだろうか……。
恐怖で身がすくむ。
「これからは何があっても部屋から出るな。俺とクロエとヒューゴ以外と話すな。お前はただ黙って俺のいう通りにしていろ! わかったか!」
僕を押さえつけていた腕の力をさらに入れ、僕の体を床に投げつけると、殿下は大股で僕の前から去っていく。
「アレク様!ユベール様になんてことを!」
ヒューゴ様は大股で遠ざかっていく殿下の背中に叫びながら、僕を立たせてくれる。
「お部屋までお送りいたします。ご無礼、お許しください。アレク様はユベール様をお守りしたい。その一心なのです」
そういうと、ヒューゴ様は肩からかけていたストールを外し僕を包み込み、ひょいと僕の体を抱き上げる。見上げると、ヒューゴ様の服は僕の体についた血で汚れているのに、優しく微笑む。
殿下が僕を守りたい一心?
それってどういう意味?
殿下は僕のことが目障りで、鬱陶しいのではないの?
邪魔者ではないの?
もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。
ヒューゴ様は僕を部屋に連れて行ってくれると、そっとベッドのヘリに座らせてくれる。
クロエが血相を変えて部屋に入ってくると、
「湯とお茶の用意を」
と告げた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
もう全部に対して謝りたかった。
殿下の言いつけを守らず、誰かわからない人を部屋に入れてしまったこと。
言いつけを守らず、部屋から出てしまったこと。
廊下で見かけた殿下に、心の中で助けを求めてしまったこと。
殿下の手を煩わせてしまったこと。
ヒューゴ様の手を煩わせてしまったこと……。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
謝りながら、何に対してなのかわからない震えが止まらない。
「大丈夫ですよ」
ヒューゴ様は僕の目を見つめながら床に跪く。そして僕の震える両手を握り締めた。
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