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第3話-1 まさかの共同生活

 プロジェクトの仕事はやりがいがあり楽しい。だが本社がかなり期待してるとあってそれなりの責任感が伴っていた。 「朝の会議。眠そうだったが大丈夫か?」  安住に声をかけられ俺は焦った。会議の内容がほとんど頭に入ってなかったからだ。 「すまん。バレてたか。昨日、提出物まとめるのに時間かかっちまって……」  俺は文章をまとめるのが苦手だ。昨日もクライアント向けの資料作りが難航して、寝る時間が減ってしまったのである。 「倉沢の家から中央までって片道1時間半だろ?往復3時間はちょっと辛いんじゃないか?」 「まあ、でも他のやつらも似たような時間帯だし」 「いや、お前リーダーじゃないか。その分抱える仕事も多いだろ?」 「そうなんだけどさ」 「……社員寮空いてるか聞いてみたらどうだ?」 「そっか。寮って手があったか」  だめなら僕んち一部屋あいてるからなと小声で言われたのは軽く無視した。仕事の話以外となるとやはり以前のようには話せなくなってしまう。変にこだわってるのは俺だけかもしれないが。意識してしまうのだ。  俺は体力には自信があった。その自信が仇となったのか。渉外担当はクライアントとの橋渡しをする仕事だ。弁論だけでなく体力勝負のところもあり、それなりに健康には気を使っていたが寝不足がたたってしまったようだ。  些細なミスが見つかったのはそれからしばらくしてからであった。 「リーダーペア! 会議室まで来るように」  上司のピリピリした声に何かやらかしたと理解する。 「ゼロが一つ足りないなんて話にならないだろうが!」 「申し訳ありませんでした。俺の確認ミスです」 「当たり前だ!何のためのペアかお前らわかってるのか!」  最終確認はリーダーペア二人でする事になっていたが今回は納期が短かったために金額のみ俺一人だけで通してしまった。 「数百万円と数千万円じゃ桁が違いすぎる!最終段階で気づいたから良かったものの、これが通っていたらわが社の損失はかなりの額になっていたんだぞ!」 「申し訳ありません!僕にも責任があります」  安住が横で頭を下げている。お前にまで迷惑かけちまった。ダメだなあ俺は。でもここで俺だけの責任ですと庇うことが出来ない。連帯責任になるのはペアを組んだ時の決まり事だったからだ。ごめんよ安住。 「そうだな。どうやらお前ら肝心なところで意思疎通ができてないようだな。倉沢、お前社員寮の申請を出していただろう? 2人部屋が空いてるらしいから明日から安住と一緒でそこで生活してみろ」 「え? 相部屋ですか?」 「ああ。この企画自体会社の存続がかかってるんだぞ。リーダーのお前らがバラバラでどうするんだ。腹を割って話せるぐらいに打ち解けてみろ!」 「……わかりました」  

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