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第3話-2
「倉沢。その、僕と同室が嫌なら今からでも上司にかけあってこようか?」
「いや。いい、これ以上印象悪くなると俺がリーダーとして素質がないと見なされてしまうかもしれない。この仕事にやりがいを感じてるんだ。降ろされたくない」
「でもお前、僕の事本当は嫌ってるんじゃないのか?」
「へ? 嫌ってなんかない! お前は仕事もできるしいい相談相手だと思ってる。そういうんじゃないんだ」
「……そっか。そうなのか」
安住がホッとしたような困ったような顔をした。
「だったら、怖いのか? 僕の事」
「……ちょっと。その、変な意味じゃなく。いや変な意味か」
「ごめん。本当に僕が悪かったんだ。お前が酔ってるのわかってて」
「あ~、もういいって。とりあえず引っ越そうぜ」
「ああ。……僕、料理はできるんだ。栄養面ではまかせてくれよ」
「へえ。そういえばあの時飲んだ味噌汁旨かったなあ」
「そ、そうか? よし!和食メインに頑張るぞ」
「なんだよそれ。仕事頑張れよ」
「あはは。違いないな」
次の日は休日で俺は一旦、住んでいた部屋を解約した。このプロジェクトを絶対成功させると決めたからだ。帰れる場所があると甘えてしまう気がしたのだ。
(――本当に? そうなのか? 何か新しい生活に期待してるんじゃないのか?)
「はっ。そんなはずねえじゃねえか」
「倉沢?何独り言いってるんだ?」
「い、いや。なんでもないって。それより思ったよりも広い部屋でよかったぜ」
寮は角部屋だったせいか2LDKだった。もっと狭い部屋を想像していたのでベットと備え付き棚がある個室はありがたかった。
「そうだな。でもお前荷物はそれだけなのか?」
俺の引っ越し荷物は段ボール箱数個しかない。
「おう。全部処分してもらった。もとより家具は作り付けだったからさ。中身と必要な物だけしか持ってこなかった」
「僕も今の部屋解約しようかな」
「は?何言ってるんだ。お前のマンション駅近だしオートロックでめちゃくちゃいい条件じゃねえか。一緒に住むのもプロジェクトの間だけだろうし。もったいないからそのままにしとけよ」
「そんなこと言って、倉沢はどうするんだよ」
「俺はどうにかなるって。もとよりここって研修センター用の寮なんだろ? 短期間か中期で追い出される可能性が高いし、それまでにどっか見つけるさ」
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