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第4話-2
二人で片付けた後、ソファーでくつろぐいだ。久しぶりに仕事以外で安住と関わった気がする。やはり気が合うのか一緒に居ると話が弾むし楽しい。
「俺さ。安住の事嫌いじゃないよ」
「うん。わかってるよ」
「そうか。わかってくれてたのか」
「ぁあ。僕が暴走しただけだ」
暴走って? こいつそんなに俺の事が? いやいやいや。なんで俺なんだ? 安住はいい男だしモテ放題だろう?
「なぁ。お前さ。俺なんかのどこがいいの?」
「全部……ってごめん。ひかないでくれよ」
「だって、俺もうすぐ三十路だぞ。お前だったらもっと若くて良い子みつけられるだろう」
「僕は倉沢が良いんだ。前から君が好きなんだ。でもその気持ちを隠してきた。これからも隠していくつもりだったんだ。でも、君があんまりりにもカッコ可愛くて……」
「ぷっ!なんだよそのカッコ可愛いって」
「仕事をしてるときの倉沢はカッコいいよ。横顔が男らしくて精悍でさ。それに思いやりもあって。後輩の面倒見もいいし。すぐに行動に出るところもすごく好感がもてる。なのに、俺の前では素の表情でいてくれるところが可愛い」
「安住。褒めすぎ。俺はそんなにたいしたもんじゃねえよ」
「そういって謙遜するところも好きだ」
俺、真剣に口説かれてるんじゃないのか? だが待て。確かこいつ彼女が出来たって言ってた時もあったはずだ。
「お前彼女いたんじゃねえのか?」
「作ろうとはしたんだ。でも無理だった。倉沢は?」
「俺は彼女が出来ても長続きがしないんだ。仕事を優先にしてしまうからな。皆私より仕事が大事なんでしょって離れて行ったぜ」
「そうか。倉沢は仕事に対して誠実だからな。僕はそういうところも好きなんだけどな」
「まいったな。褒め殺しかよ」
照れ隠しに憎まれ口をたたく。
「今日はありがとうな。一緒に話せて嬉しかった」
安住が席をたとうとするのを俺は引き留めた。
「おいおい。俺の言った意味わかってないだろ?今日はじゃねえよ。これからはだ。明日からは時間が合うときは飯も一緒に食おうぜ。なるべく早く帰るようにするから待っててくれよな」
「いいのか?」
「当たり前だろ?鍋は二人で食うほうが美味いんだ」
安住の背後で尻尾がぶんぶん揺れてる幻覚が見えた気がした
次の日から二人で一緒に飯を食うようにした。帰りが遅くなっても俺が食べ終わるまで安住は食卓に居るようになり、結局寝る前まで俺らはリビングでまったりと過ごすのが日課となった。
別に二人でいても互いに違う事をしている時もあるし必要以上に干渉はしない。ただ、隣にいるぬくもりが心地よかった。
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