20 / 53
第9話-3 *
*性的な事後の表現を含みます。苦手な方は注意してください。
ほわほわとした感覚でいると安住がホットタオルを持ってきてくれた。俺の身体を丁寧に拭き上げて行ってくれる。
「安住……悪い。自分でする……」
「いいから。僕がしたいんだ。倉沢の身体を全部綺麗にしたい」
確かにだるいし喉は喘ぎすぎて痛い。尻の奥は鈍痛がして何かが挟まった感じがする。
「倉沢。そのちょっとだけ我慢してくれ」
「え?……んぁっんんっ」
安住の指が俺の後ろを掻きだすように蠢く。
「ちゃんと出しとかないとお腹壊すといけないからね。ごめん。ゴムするべきだった。僕はほんとに詰めが甘い」
「……嫌じゃなかったよ」
「っ! ほんとに?次はもっと気持ちよくしてぐちゃぐちゃにしてあげるからね」
「うっ……ふ、普通でいい。普通で良いから」
「うん。無茶はしない。約束するっ」
必死になって弁解する姿が、仕事の時とかけ離れていて俺は思わず笑ってしまう。
「ふっふふ。お前本当に俺がいいんだな。ありがとうよ」
ぱっと喜ぶ表情が分かりやすい。社内では絶対こんな事はないのに。二人だけの時にだけ見せる姿なのだと思うと胸が高鳴る。
「お前、その、普段は俺の名前なんて呼ばないくせに……あんなときだけ呼ぶのはズルいぞ」
「ぁ。えっと、つい。本当はいつも呼びたいなって思ってて」
「なんだそうだったのか。じゃあ俺にもお前の名前を教えろよ」
「え? 知らなかったのか?僕は和真 って言うんだ。安住和真 。名前で呼んでくれる?」
「和真。良い名前だな」
「はっはじめて僕の名前呼んでくれた」
「そりゃ。はじめて聞いたからな」
「嬉しいっ……倉沢が僕の名前を」
「あ~わかった。わかったから泣くな。こうしよう。プライベートの時はお互い名前で呼ぶってのはどうだ?それでオンオフつけようぜ」
「いいのか? け、けん、健吾。なんか緊張する」
「ふっふふふ。さっきはもっと普通に呼んでたじゃねえか」
「だって、恋人同士っぽくて」
「……恋人なんだろ?」
「いいのか?ほんとに?もう却下させねえぞ」
「ああ。いいよ。もう腹はくくった。お前こそやっぱり女が良いとか言うなよ」
「言わないっ。僕は健吾がいいんだ。ありがとう!」
安住が半泣きで抱きついてくる。これがイケメンと女子社員の間で人気のある男だなんて到底想像できない。なんで俺なんかが良いのかわかんないが、こいつが本気だって言うのはわかった。
ともだちにシェアしよう!