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閑話その2-1 とわに誓いを

 週末は快晴だった。 「おおっ。すげえ青空だぜ」 「ああ。後で外でも写真撮ろうよ」  安住と俺は白のタキシード姿で互いを見つめあっていた。 「お前本当にこういうのが似合うな。王子様みたいだ」  柔らかい栗毛が白の衣装にあいまって見惚れる。 「そんな。健吾のほうこそ。カッコいい」  赤くなってうつむいてる安住が可愛い。背後に大きな尻尾が振られてる幻像が見える。 「身内だけの式になっちまって悪いな」 「いいよ。式が挙げれるなんて思ってなかったから」  安住の目が潤んでいる。 「こら。まだ早いぞ。泣きはらした顔でみんなの前に出るつもりか?」  肩を抱き寄せると震えてるのがわかった。緊張してたのか。本当に可愛いやつだ。 ――――今日は俺たちの結婚式だ。  あれから両親へのカミングアウトに時間がかかり今日まで延び延びになっていた。反対されると思っていた俺の両親のほうが物分かりが良く、安住の親の方が難色を示していた。 「健吾はなかなか浮いた話もないし一生独身かと思っていたから、パートナーが見つかっただけでも良かったと思ってるわよ」  母親に言われてそんな風に心配されてたのかと反省したほどだ。  だが、安住のところは王子様風の見た目から女性の友人も多かったようで同性婚と聞いて驚いていた。まあ無理もない。 「ごめんよ。僕のほうがまさか足を引っ張るなんて」 「そんな言い方はよせ。この国の古いしきたりがそうさせているだけだ。異性を選ぶのが普通という考えが残っているからLGBTが受け入れられない人もまだ多い。俺はきっと結婚できないって諦められてたんだろな」 「そんなことはないよ!健吾の方こそ。僕よりもっと良い人がいるかもしれないのに……」 「はい。ストップ!いいか。今日は一生に一度の記念の日だ。そんな口は塞いでしまうぞ」  俺は安住を引き寄せその唇を奪った。唇を離すと安住の惚けた顔と目が合った。潤んだ瞳の奥に雄めいた気配を感じ。俺の身体が疼く。 「ったく。こんな身体にしやがって」 「責任取る……いや、僕のだ。だれにも渡さない」 「ふっ。ばかやろう。俺の身体は俺のだよ。でも心はお前のモノだ」 「健吾~っ。惚れ直すよ!」 「はいは~い。ごちそうさま。もうお腹いっぱいです。まあそんな惚気た顔の二人を見るなんて貴重ですけどね」  反射的に振り向くと早瀬が胡乱な目でみていた。 「仕事のお二人は本当にクールで紳士で信頼感が漂ってますが、こんなにデロデロなお二人を観れて貴重なお宝映像が……いえ。素敵なお写真が撮れそうで嬉しい限りです」  その後ろで映像担当たちのニマニマ顔が憎らしい。

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