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第6話-2
展示会が終わり、新規先からの商談が増えた。まずは新商品の見本を手に説明して回っている。
「以前と違って規模が大きくなってきた。今までのやり方では回らなくなる。だから流れを見える化するつもりだ」
「はあ? 見える化っすか?」
「ああ。誰がどこまで進行中でその後どう引き継ぐかなど社内のパソコンで随時追えるようにする」
「ひぃ。怖いっす。手を抜けないっすね」
「逆だよ。遅れてるものにはヘルプがつけやすくなるし早まってるものには他でも対応できるようにする。早瀬、お前にはそれらをまとめるリーダーになって欲しい」
「え?!俺がですか?」
「もちろん補助もつける。安住の企画のほうも2~3人決めるそうだ。どうだ?やってみないか?」
「わかりました!やらせてください!」
「ははは。そうと決まれば今日の昼は俺がおごるよ」
「やった!じゃあ俺大学横の定食屋がいいっす」
普段から新商品の共同研究で世話になっている環境大学横には評判のいい定食屋がある。こじんまりした店だが学生向けのリーズナブルさが受けているようだった。
「え?本当にそこでいいのか?」
「そのかわり、スペシャル日替わり定食にします!」
今日はエビフライと生姜焼きにサラダと味噌汁つき。ごはんはお代わり自由だ。
「ぷはっ。一番高いやつだな?よしわかった」
中に入るとカウンターの上に野菜中心の常備菜がたくさん並んでいる
「ここの常備菜はタダなんっすよ。お代わりし放題」
「なに?本当か?」
「ほっほっほ。食材の野菜はわしと学生とで作っとるんですよ」
キッチンには年配のおやじさんが笑っていた。
「大学の中に農園があっていろいろな野菜を作ってましてな、わしはそこの野菜を分けてもらう代わりに学生に安くてうまい料理をだしているというわけですわい」
そうか、それでメニューの中に白ご飯のみって言うのがあるのか?
旨そうな常備菜たちは名前がつけられていて。無限ピーマン、ウマ辛みそキャベツ。スーパー人参しりしりなど。どれも学生たちが命名したそうだ。
「おすすめはやみつき胡瓜っすね」
「ほっほっほ。わしが作るのは男の手料理ばかりでな。誰でも作れるもんじゃよ」
「男の手料理……それって俺でもできますか?」
「簡単じゃよ。まずは食べてみなされ」
早瀬おすすめのやみつき胡瓜をかじってみる。歯ごたえが良いのは新鮮な証だろう。ごま油の香りに塩味が効いていた。
「ビールのつまみによさそうだな」
「でしょ?でしょ?美味いっすよね。やみつきになるくらい食べちゃう胡瓜って意味なんすよ」
「胡瓜をぶつ切りにしてごま油と塩をあえるだけじゃよ」
「え?そんな簡単なんですか?」
「そうじゃ、仕上げに白ごまをパラパラ~っとふれば出来上がりじゃ」
「おお。これなら俺にもできるかも!」
「なんすか?倉沢さんって料理に興味ありましたっけ?」
「俺も安住のために何か料理をしてやりたいんだ」
「ほ~。へ~。ごちそうさまです~」
「こら、茶化すなよ。安住には内緒だぞ」
「ほっほっほ。他にもいくつか簡単なのを教えましょうか?」
「是非!お願いします!!」
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