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第8話-2

「飯はいつも安住に頼りっぱなしだからさ。メイン料理は俺にはまだ難しいが常備菜くらいなら作れるかなって。こっそり練習してたんだ」  そんな風に思っててくれたなんて。僕はただ倉沢の喜ぶ顔が見たかっただけなのに。僕の料理を美味そうに食べてくれるのが嬉しいんだ。 「健吾。ありがとう」  これって僕を慰めてくれてるんだな。僕が落ち込んでるってわかって料理も作ってくれて。焦げた目玉焼きが苦い。でもその苦さが嬉しい。 「そんなにまずかったか?焦げてないところ食ってくれ」 「ううん。美味しいよ。凄く。ありがとう」  僕はまた涙くんでしまったらしい。健吾のやさしさが目に染みる。 「弁護士ってストレスたまるんだろうな。それとなく北島の事を弁護士協会に問い合わせたり調べてみると、あいつ評判悪くってさ。小銭稼ぎのために裏取引もしてるって噂だった」 「…………」  そんな姑息な奴だったなんて。 「だからあいつが立ちまわりそうなところにダミー商品をちらつかせたんだよ」 「え? あれって健吾が手を回したのか?」 「まあ。そうなるのかな。本当はさ、市場を検索していたらうちの商品を安価で売ってるサイトがあってさ、取り寄せたらダミーが混じってたんだ。ありえねえって思ってさ。製造先を調べたら海外だった。模倣品を安く作らせて倍の値段をつけようとしていたらしい。もちろんそことはすぐ手を切って訴えたが、コレを使えないかなって」 「そんな危険な事!もしあいつの裏に闇社会とか繋がってたら」 「そうだな。もう二度としない。ちょっと俺も頭に血が上ってたみたいだ。安住に手を出されるんじゃないかと思ったら冷静にはなれなかった」 「……健吾」 「そんな顔するなよ。とりあえず、これでもううちには来ないだろうよ」 「うん。それに来たとしても僕も毅然とした態度をとるよ」 「ああ。今回のことで、俺は自分の中の独占欲の強さに気づいたんだよ。今まで他人に執着したことがなかったからわからなかったが、俺お前が居ないとダメみたいだ」 「健吾。それってすっごい口説き文句」 「そうか?じゃあ口説きなおさせてくれ。一生俺の事だけ考えて俺だけをみてくれ」 「うん。うん。じゃあ僕の事も考えてくれる?」 「ここ数日お前の事しか考えれなかった」 「うそ……普段どうりだったじゃないか」 「どこがだ。ミス連発で初めて早瀬に怒られたぞ」  知らなかった。自分の事で精一杯で気付かなかったんだ。 「俺はお前が思う程完璧じゃねえぞ。嫉妬もするし狼狽える。ただの男なんだよ」 「健吾……。じゃあ僕はそんな健吾を支えるよ。旨いモノ一杯食べさせて体力つけて。風邪もひかさない。健康管理は僕がする」 「ああ。この先もずっとお前の飯が食いたい」 「ふふふ。結局僕らそこに行きつくよね」 「はは。まあな」 

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