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第2話-2お前の初恋は俺                        

「思ってたってなんだよ! なんでそこで諦めちまうんだよっ」 「俺なんかといたらお前の評判が悪くなっちまう」  レンは生徒会長だ。表向きは品行方正で通っている。評判もいいし何をさせても手際が良い。こうみえて周りからは信頼も厚い。 「俺のようなヤンキーくずれと一緒に居たら内申が悪くなっちまうかもしれない」 「大丈夫さ。そんなことで内申は下がらないさ。校長と教頭、数人の教師の弱みはすでに掴んであるから」  えっと……今、さらっとレンが怖い事を言ったような? 気のせいかな? 「いや、でも将来弁護士になりたいって言ってただろ? 俺みたいに素行が悪いもんが傍に居たらお前の足を引っ張ってしまうんじゃ……」 「なんだそんなことか。それは俺が弁護士になったほうが後々お前に有利になるかと思っただけだ」 「へ? 俺のためだったのか?お前頭いいから法律系の仕事に就くもんだとばかり思ってた」  レンは俺の前に冷えたペットボトルを置いた。 「はは。まあ、何もないがこれでも飲みな」 「ああ。ありがとう」 「何かがあった時に有能な弁護士がついていたほうがいいだろ?」  そんな理由だったのか? 本当に? 俺に気を使わせないために嘘ついてないのか? 「それって俺がヤバい事に巻き込まれた時のためってこと?」 「ああ。他に何があるんだ? 俺の中にはお前しかいないのに」  なんて臭いセリフを吐くんだ! まったくこのタラシめ! 「なに馬鹿なこと言ってやがる!」 「馬鹿じゃねえさ。前に言ったろ? 俺の初恋はお前だって」 「あ? ああ。俺を女だと思ってたんだろ?」 「クク。あの頃のお前は本当に可愛くって目もぱっちりとして頬はバラ色だった。まるで天使が舞い降りたようだったぜ」 「うわあ。やめてくれ~。黒歴史だ! 好きで女顔だったんじゃねえっ」 「あのときから、俺はお前しかみてない」  はあ? な、なんだその赤面するセリフは!  「お前なんか変なドラマのみすぎじゃねえか? 聞いてて恥ずかしいよ」 「俺は向こう見ずなお前が心配だよ。本当はこの腕の中に閉じ込めてしまいたいぐらいなんだ」 「……なんだよそれ」 「そのくらいお前の事が好きだってことだよ」  そんな真顔で迫るなよ。ドキドキするじゃねえか。ドキドキ? あれ? なんで俺こんなに胸の鼓動が激しくなってるんだ?   俺は目の前にあったペットボトルの中味を飲み干した。なんか甘ったるいが、喉をとおる冷たさに少し冷静になれた。 「と、とにかく。これからはお前と距離を置く事にしたか……ら?」  ぐっとレンが俺の腕を掴んだ。 「だめだ。いぶき。それは許せねえ」        

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