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第25話
痛みを与えられる方がずっとマシだ。息もまともにできない快感なんて暴力と何も変わらない。
大体同意のないセックスは、例え…………だとしても犯罪に近い。
「少し楽になったかな」
顎に手を添えられ、彼の方に向き直される。涙と汗と唾液でぐちゃぐちゃになった顔を見られるのは耐え難い屈辱だ。
ルネは自分のものを慰め、最後は自分の手の中でイッた。この雰囲気だと中に出されるかと冷や冷やしたが、そこまでやるつもりはなかったようだ。
けど中は彼の熱を中途半端に思い出してしまっている。小さな口は塞がらず、愛液をだらだらと零してしまっていた。
実際は一年程度だろうに、数年ぶりに吐き出した気がする。以前は自分から尻に指を入れるなんて考えられなかったのに、……彼がいなくなってからはそれで心を落ち着かせていた。結局自分がやると大して反応もなかったけど、彼が触れると今まで死んでたんじゃないかと疑うほど反応する。
シーツは気持ち悪いほどぬれてしまっていた。
「……ノース」
彼の服も汚れてしまうというのに、強い力で抱き締められる。
また唇を掠め取られ、息を奪われた。
「んっ……ん、ルネ……ッ」
絶え間ない愛撫が全身に巡る。どれほどの時間が経ったか分からなかった。気付いた時には身体を洗われて、二人でバスタブの中にいた。
最近お気に入りの入浴剤があったのだけど、勝手に使われたらしい。彼に背中を預け、抱え込まれるような形で密着している。
何だこの状況は……。
昨夜、いや昨日のこと全部が夢だったら、きっと本気で嬉し泣きしていた。でも触れる熱も花の香りも、自分の意識を徐々にクリアにしていく。
ルネの腕が前に回った時、思わずびくっとした。ただ腹に触れただけだったけど油断はできない。
「随分髪が伸びたね」
ルネは目をわずかに見開き、ノーデンスの髪を指に絡めた。
「ぬれてるからそう見えるだけだろ」
「そうかな? でも綺麗だよ、相変わらず」
歯に浮くような台詞も久しぶりだ。彼は毎日、昼夜問わずうざったいほどの愛の言葉を投げ掛けてきた。
「ランスタッドにとっては災難な日だったから辛いところだけど、私はちょっと幸せだった。なんせ久しぶりの夜の営みだったね」
「だ、からそういうのはやめろっ」
聞いてるこっちが恥ずかしい。彼の膝に乗ってる状態で凄んでも効果はないが、かと言って黙ることもできない。オーバーなため息をついて額を押さえた。
四年前から、自分と彼は夫婦だ。今も契約は続いている。が、別居している。
彼は一年ほど前突如母国に帰り、自分はランスタッドに残った。以降は連絡もとらず、お互いに穏やかな日々を送っていたのだが……。
「今回の事件も君が大胆に首を突っ込んだってオッド君から聞いたよ。立派だって褒めたいところだけど……体調が悪い時に無茶をするのは賢明じゃない」
「お前は今、この国の人間じゃない。そっちこそ口を挟むな」
「まーたそんなツンツンして。あんまり我が道をいってると誰もついてきてくれなくなるよ? ……それに」
彼に手が上へ伸び、胸の二つの突起をぎゅっと摘んだ。
「ひあっ!」
「私は君の素直な気持ちが聞きたいな」
ぐりぐりと押したり引っ掻いたり、微弱だが刺激を与えられる。加えて下まで握り込まれ、情けない声が出た。
抵抗しようと試みると、お湯が溢れて床をぬらした。身体が外気に触れる、面積が大きくなる。
隠すことなんてできない。互いのものが当たって、見えてしまっている。
「愛してる、ノース。こんなことになってしまったけど、私の気持ちは変わらないから……安心して」
「いっ、うぅ……」
腰を掴まれ、執拗に後ろの谷間を撫でられる。
身体はもう彼を求めている。もっと触ってほしいと……。
理性が切れる音がした。
「ルネ……ここも、触って……っ」」
自ら腰を浮かし、彼の手を後ろに誘導した。さっき受け入れたばかりの場所だから、まだ入口は緩い。
ルネの指と共に、お湯が中に入ってくる。
「! ひっ、ああぁぁ……!」
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