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第37話

「……っ!」 何度目かの律動を越え、派手に仰け反りイッてしまった。 「は……っ……はー……っ」 快感の余韻が強過ぎて何も考えられない。開けた口が塞がらず、口の端に唾液が零れる。 これは快楽を求める為でも、愛を確かめ合う為でもない。ただの逃避のセックスだ。 こんなことを続けていたら本気で馬鹿になる。理性を取り戻した時に彼と話し合わないと。 そう考えていた矢先、腰を掴まれ激しく突き上げられた。 「んあっ!?」 「よそ見しない」 ルネはまだイッてないようで、今度は押し倒されてしまった。立場が逆転し、彼を見上げる体勢になる。 「ノース。まだ私のことは好き?」 「何だよ急に。気持ち悪い」 「不安だからさ。本当は毎日だって訊きたい」 首筋を執拗に舐め取られ、体の熱が上昇していく。もう顔も体もぐちゃぐちゃだった。彼と繋がってる部分は視界に入れたくないほど醜く腫れ、溶け合っている。 彼が動く度にいやらしい音が響く。これが自分が吐き出しているものだと思うと、さらに不快だ。 「……逆に訊くけど、嫌いって言ったら解放してくれんのか?」 「しないね」 「じゃあくだらないこと訊くなよ」 男同士は男女の関係とは少し違う。婚姻関係を結んでいようと子どもがいようと、女々しいやり取りを繰り返すのは好きじゃない。 「お前が俺を好き……。俺は、それだけ分かってればいい」 「そりゃあ君は良いけど、私だけ不安なままじゃないか」 「いいよ。ずっと不安がってろ」 「酷いお姫様だ」 ルネは苦笑し、ノーデンスの片脚を高く持ち上げた。 「じゃあ私が安心できるように、気持ちよさそうな顔を見せてね」 「は……」 突如見せる笑顔にぞっとする。思わず後ずさろうとしたが時すでに遅く、簡単に引き寄せられて貫かれる。 「あっ待って……もう無理、イきたくないっ! 無理無理……!」 それから何度制止と罵倒の言葉を浴びせただろう。ルネはまるで聞かず、最後にしつこいキスをしてイッた。ただ性器は引き抜き、中には出さなかった。 避妊はしてくれてる。それは現状を省みた優しさなのか、それとももう自分と子どもを作る気はないという意思表示なのか。妙に疑ってしまう。 どちらにせよ、もう動けない。汚い体液にまみれて、二人してソファに沈んだ。 これはやばい……。 一年という時は自分が思ってるより長かったみたいだ。ルネも充分、理性のストッパーがぶっ壊れている。

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