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1日目:スポット開発

 「さて、まずは指からだ。入れる時は息を吐け。」  「い、息を──っ…?…ん、くぅ──っ…!」  傍にあった台の上から、何かぬるぬるとした液体のようなものを指先に(まぶ)し、ザラキアはシンジの固く締まった狭窄の上を幾度も撫でる。その恥ずかしさと、何とも言えないくすぐったさに反射的に腰を浮かした瞬間、細く長い指の先がつぷんと肉穴の中に入り込んできた。ぞわり、と背筋を駆け上る異物感。しかし、ぬめる液体のせいで痛みというものはほとんど感じない。  条件反射のように異物を締め込んでしまう肉壁の具合を確かめるように、ザラキアの長い指はつぷつぷと幾度も出入りを繰り返した。軽い挿入感と排出感の中、次第に、弄くられるその部分から奇妙な感覚が湧き始める。ザラキアは、へらりと笑っていた先程とはうって変わって、真剣な表情で切れの長い藍色の瞳を細めていた。  「ふ──ぅ…、…うぅ──ん…っ──。」  「思った通り、早い頃から(しつ)けた性奴隷の穴とは訳が違う。狭いが、そろそろ指の動きを覚えてきたか?意識していれば、スポットが硬くなってくるはずだがなぁ──。」  きゅうきゅうと絡む肉壁の中で軽く指を折り曲げ、腹側の天井を押し上げるように何かを探している。不意に、その指先が、知らないうちにコリコリと凝り固まった一か所を捉えて押し上げてきた。肉洞の少し奥の腹側に位置する、その場所。  瞬間的に、目の前にパチン、と軽い火花が散る。  「ひぃ…ッ──?…や、ぁ、──今の…何──ッ……!」  「おっ、ここか。解りやすいくらいに硬いじゃねぇか。いいか、今日の調教のゴールは、徹底的にここで感じることだ。このスポットでイケるようになるまで続けるからな。…ほら、どうした。しっかり集中しろ。」  「や──ぁ、…ソコ…、ッ、ん、──何か…変、ですッ──!」  ザラキアの長い指が身体の中で(かぎ)状に折れ曲がり、その一か所ばかりを押し込むように、重点的に刺激してくる。そして、刺激されれば刺激されるほど、その部分はざわりと熱を集めてさらに固く(しこ)っていった。同時に、性感帯を腹の内側から握り締められるような、全く経験したことのない感覚が少しずつ掘り起こされていくのが解る。  前立腺マッサージという風俗のテクがあることを、噂だけでは聞いたことがある。尻の中を弄くられて感じてしまうなんて、変態的だとしか思えなかったが、今、シンジは、その前立腺をゴリゴリとまさぐられてだらしなく息を喘がせ、溢れてくる声を我慢できずにいる。じわ、と下半身に血が集まっていくのをぼんやりと感じ、そんな自分へのあまりの羞恥に耐えかねて、泣き顔に近く顔を歪ませた。  「ほー。これで、もう勃つか。シンジ、お前、なかなか筋がいいじゃねえか。掃除蟲(スカベンジャー)でイキ狂っただけのことはあるな。エロいことをされて喜ぶ、スケベな身体だ。」  「そんな──、そんなの、…ちがっ──!イ、あ…ぅ、ぅ…ッ──!」  「あぁ?ご主人様にいやらしい身体だって言われたら、まずは礼だろうが!」  「ひ…い──ッ…!…イ、アあぁ…ッ──!…申し訳…ありません──っ…、つ、強いの…ダメ──ぇッ…!」  (いら)ついたようなザラキアの叱責の声と共に、指の腹が殊更強くごりゅごりゅとしこりを押し込んでくる。目の前がチカチカと明滅するほどの強過ぎる快感にシンジは仰け反って鳴き叫び、拘束された足首を無駄にばたつかせて腰を捩った。それでも、ザラキアは責めの手を止めない。  一度強く押し込んだ弱点の膨らみの上を、今度は柔らかく(さす)るように強弱をつけて攻め立ててくる。最早、その場所がぷっくりと膨れ上がって性感帯として機能していることは、自分自身でも言い訳のできない事実だった。勃起したモノを直接擦られる訳ではない、強烈だがもどかしい気持ちのよさに()れ、ゆらゆらと腰を揺らしてしまう。そのもどかしさを知っているのだろうザラキアの調教は、シンジに決定打を与えないまま延々と続いた。  「ふーん、指だけでバキバキに勃てて、その上、濡らすか。──順調だ、筋がいいぞ。じゃあ今から、指を増やす。」  「…ッ、あ、ありがとう──ございます…っ…。」  藍色の鋭い視線で睨み付けられ、シンジは、先程言われた通りに、恥じらいながらも蚊の鳴くような小声で礼の言葉を口にする。満足げに頷く魔物の青年は、潤滑液で濡れたもう一本の指を穴の縁に宛がうと、慎重にずぶずぶと狭窄した肉洞に分け入らせていった。痛みに近いきつさを感じるほどの圧迫感に眉を寄せ、息を吐け、と命令されるがまま必死で息を吐き、長い二本の指をそこでどうにか受け止める。  人差し指と中指が、そこを含んだ肉壁の中でバラバラに蠢き、すっかり硬く張り詰めたシンジの体内の膨らみをじっくりと揉み込んでくる。指が動く度に、喉の奥からは情けない声が勝手に溢れた。  触られることもなく完全に勃起した牡の部分は、ぱっくりと鈴口を開いて透明な先走りの液をだらだらと溢れさせていた。

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