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堕落の都SODOM:もうひとつのお仕事
ものの十分ほどの間に、ザラキアが大苦戦していた羊皮紙の空欄はきれいに埋まった。
ふぅっと息を吐きながらソロバンの珠を綺麗にジャラリと整列させ、羽根ペンで書き込みをした羊皮紙をザラキアに手渡す。
「はい、これ。念のため検算しておきましたけど、マルをつけたこことここ、後ここの数字、計算が間違ってます。正しい数字は二重線訂正して上に書いてありますから、こっちを提出してくださいね…。」
「ぐぅ──。」
用紙を覗き込むザラキアは、その完成度に完全に圧倒されているようだった。細かい丁寧な書き込みがされている用紙は、シンジにしてみれば、PCや電卓の代わりにソロバンを使っただけで、いつもやっていた単純な業務の延長線上だが、ザラキアにとってはそうではないらしい。
「完璧じゃねぇか、コレ。俺がやったら何時間かかるものを、この一瞬で、か…?」
眉根を寄せ、糸のように目を細めて、シンジと、完成した用紙との間で視線を往復させていた。その、先の尖った長い耳が、くったりと垂れ下がって、困惑と驚嘆とを覚えている彼の内心がはっきりと伝わってくるようだった。
あ、ロップイヤーご主人様 可愛い。そう思った瞬間、ザラキアは机の上に羊皮紙を放り投げ、やおらシンジを強引に抱きかかえる。
「え──?…うわ…っ…!」
いわゆる『姫抱き』という格好で軽々と持ち上げられ、目を白黒させて驚くシンジを抱き上げたまま、ザラキアはベッドに向かって歩いていった。そして、ふかふかのマットレスの上にどさりと身体を投げ出し、上から覆い被さってくる。
ザラキアの端整な口許には、満面の笑みが浮かんでいた。どことなく楽しげで、そして攻めっ気のある笑顔だ。
「…いや、お前はやっぱりサイコーの逸品だ。まさか、魔族に奉仕するためだけに生きてる人間の性奴隷 が、こんなことまでできるっていうのは、この街の誰も想像さえしてねぇだろ。──お前、ずっと俺の奴隷でいろ。まあ、終生奴隷なんだから離れようとしても離れられねぇけどな。」
チュツ、チュ、と軽い音を立てて、髪に、額に、頬に、ご褒美のくちづけが落ちてくる。擽ったさにクスクスと笑いながらも、ザラキアの腕の中で愛玩される喜びがじんわりと温かく心を満たしていった。
「今度から、租税の計算だの面倒なことは全部お前がやれ。…その代わり、しっかりご褒美をやろう。さあ、何が欲しい…?」
「任せて下さい、ダテに簿記の資格持ってません。それだけは得意なんです…。──じゃあ…ザラキア様に、いっぱいキスして欲しい…なんて、ダメですか…?」
組み敷かれながら上目遣いに見上げるシンジを見下ろして、ザラキアはくっくっと肩を揺らして笑った。
「こういう時は大概、宝石だの美味い飯だのを欲しがるもんだぜ。どうにも可愛いおねだりじゃねぇか。気に入った。──お前はやっぱり、俺の最高の終生奴隷になるために生まれてきたようなモンだな。」
瞼を閉ざすと、唇の上にしっとりと熱いものが重なってきた。心が震えるほど嬉しい、ザラキアのキスだった。すぐに薄く唇を開き、ぬるんっと忍び込んでくる肉厚の舌を受け止め、自分の舌先をピチャピチャと絡め合わせる。
「…ん、──ふぅ…ぅん──。」
とろんと心が溶けていくのが解った。淫魔であるザラキアとのディープキスは、それだけで全身から力が抜けていくほど気持ちがいい。それに、両脚の間の肉穴や喉の奥を使ってご奉仕しているのとは違い、特別に愛されているという気分になる。
「…キスも、随分うまくなったな──。」
ちゅっ、くちゅっ、と舌を絡ませる合間に、ザラキアが髪を撫でながら褒めてくれる。控えめな舌使いにも慣れてきて、口づけの中で、ザラキアがしたいと思っていることがだんだん解るようになってきた。
混ぜられる唾液を、コクンと音を立てて飲み込む。藍色の長い髪が垂れる背中に腕を回してしっかりと抱きつき、深いキスの幸福感に浸っていた。
と、突然、キスをしたまま両脚を大きく割り開かれる。
何、と思う間もなく、さっきまで散々弄ばれて綻んでいた奥処の入口の上に、灼熱した硬い先端がつぷ、と押し付けられる。
ずちゅっ!と熟れた粘膜を掻き分け、勢いよくザラキアが挿入 ってきた。
「ン、く、──ふぅうぅヴッ──?」
「…っは、キスっていったら、こっちにもだろ。──奥の壁にも、先っぽでたっぷりキスしてやるからな…。」
再び唇を塞ぎながら、ズクズクと力強く腰を使われて、甘く蕩けていた目の前が一気にフラッシュした。
『だめ──!…さっきまで、してたばっかり…なのに、こんなの──無理ッ、結腸キス、キツ過ぎる──っ…!』
第二の門の奥までずっぽりと挿入され、コツコツと行き止まりに怒張の先端でキスされて、激しすぎる快感にわなわなと全身を震わせる。大声を上げて鳴き叫びたいのに、しっかりキスで口を塞がれているせいで、力なく首を振ることしかできない。
ピチャピチャと舌を絡め、吸われながら、身体がガクガクと揺れるほど激しく突き上げられた。
「ふぅ──っ…ぐうぅうウ…っ──。」
激しくドライオーガズムで絶頂し、キスとセックスのどちらでイッたのかも、もうわからない。
気絶するほど犯されながら、シンジは、これがザラキアなりの愛奴隷へのご褒美なのだということをぼんやりと悟った。
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