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第4話 傑とハジメ
日本に帰ってまず一番最初に高任の家に挨拶に行った。ハジメの家が本家筋だった。
ハジメの父は高任家の長男でハジメは一人っ子だ。高任家は子供は一人しか持たない。同い年の従兄弟同士の傑の家も、父は次男だが子供は一人だった。
衆道なのだ。誰から強制されるわけでもないが何故か、衆道の性癖が受け継がれる。代々生まれるのは男ばかりだった。しかもみんなゲイになる。
無理して体面を保つため、嫁を娶り嫁に子供が出来るまでの辛抱を強いる夫婦生活なのだった。
母はいつも家の犠牲になった。
ハジメの母には公認の恋人がいたが、世間体を気にする父が隠し通した。傑の家は、母親が傑を生むとすぐに離縁されて、傑は乳母に育てられた。
ハジメと傑、従兄弟同士でも双子に間違えられるほどよく似ていた。家も近所で、高校に入るまでずっと同じ学校に通った。
良く似た二人は、また抱えている孤独も同じように深かった。
いつからか、傑はハジメを愛している事に気づいた。
(ハジメが好きだ、俺はおかしいのかな?)
ハジメも同じような気持ちだろうか?でもそれは許されない気がする。自分に似ているから安心なだけなんだろう。
ハジメもまた傑を愛している自分の気持ちを、否定しようとした。
今はハジメも傑もそれぞれ愛する人に出会った。恋人を介して、以前より頻繁に会う事が多くなった。
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