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第5話 ディアボラ

 傑の店に、何故かみんな集まって来る。そしてあの円城寺が常連のように顔を出す。  「ディアボラ」は礼於が辞めてからしばらく店を閉めている。あの六本木の夜を彩るイケメンだらけのホストクラブは、惜しまれながらも営業出来ずにいたのだ。オーナーの円城寺が礼於を失って抜け殻のようになってしまったから。 「バー高任」にイケメンの若者が二人、訪ねてきた。 「おはようございます。」 「いらっしゃい、お二人ですか?」 礼於が来て二人に気づいた。 「あ、久しぶりだね。今日はどうしたの?」 「礼於、知り合い?」 傑が小さな声で聞いた。 「うん、ディアボラの同僚だよ。 淳と零士(じゅんとれいじ)二人ともイケメンでしょ。」  礼於が普通に答えるので二人は焦った。 「初めまして。俺たち今日はレオンに頼みがあって来ました。」 「今は本名の礼於、だよ。レオンはやめて。」 礼於が呼び名を抗議した。 「あ、そうだね、ごめん。 実は、お店、ディアボラ、ずっと閉めてるんだ。 礼於がいないから社長がやる気を無くしちゃったみたいで。」  礼於は傑を見て困った顔をした。 淳と名乗った方が声をあげた。 「ウチの社長は礼於がお気に入りだったんです。」  礼於が 「うん、円城寺はボクの初めての男、なんだ。 ボクをゲイにしたのはあいつだ。  他の人から聞くよりボクが自分で言った方がいいと思って言うんだけど。」  傑は礼於の顔を真っ直ぐ見て訊いた。 「それで礼於は今でも円城寺さんを好きなのか?」 「ひどいよ。ボクが好きなのは、傑一人だけだ。」  傑は礼於を抱きしめた。 「そう言う事。だから円城寺さんにはよろしく伝えてください。」

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