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第12話 バー高任

 そんな事を言っていると、ドアを開けて従兄弟のハジメと恋人のタカヒロが入って来た。 「いらっしゃい。」 「久しぶりだね。 あ、あの時の酔っ払いがいる。」  礼於が店で酔い潰れて、ハジメが肩に担いで傑のマンションに帰った時の事だ。 もう数ヶ月前になる。 「あ、あの時はありがとうございました。」 「ホストやってるんじゃなかったの?」 ハジメとタカはあの時以来、来てなかったから、事情を知らない。 「ボク、ボク、ホスト辞めたんです。 今は、傑の、あ、マスターの家にいます。」 傑がここに至った状況を説明する。話を聞いて 「へえー?遂に傑も身を固めたか。 おまえ、名前は?年は?」 矢継ぎ早に聞かれて戸惑う礼於に代わって傑が話し出す。 「ハジメ達が来たあの夜、二人が帰ってから礼於を抱いたんだ。軽い気持ちで手を出して、その一回だけでもう止めた。本気になりそうだったから。」 「傑からそんな事聞くのは初めてだな。 いつもセックスだけなら割り切って遊ぶのに、本気になりそうだって言うのか?」  礼於は思い出した。あの初めての日以来、抱いてくれなかった事を。  傑が言う。 「1週間くらいして礼於はいなくなった。 ホストクラブの経営者が来て、私が隠してるんじゃないかと疑われたが、私も行方は知らなかった。本名だって知らなかったし。」

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