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第13話 タトゥー
礼於はシャツを片袖だけ脱いだ。右肩から手首まで入っているタトゥー。
「凄いな。何が彫ってあるの?」
ハジメが礼於の手を取ってタトゥーをしげしげと眺める。
「フランス語と、うん、これはプル語か?スス語かな?ちょっと良くわからないが、ジュテームとは書いてあるな。これ彫った人はアフリカ系だろ。」
「さすが。彫り師はギニア人なんだ。
フランス語も使ってた。
ハジメちゃん、語学が得意なの?」
「まあな。あ、眼が彫ってある。この眼、傑だ。
腕にこんな眼が光ってたら浮気出来ないな。」
どれどれ、とタカも見に来る。
「いいなぁ、オレも入れようかな。」
「その後、礼於は1ヶ月くらい経ってひょっこり顔を見せた。その日から私の嫁だ。
ホストクラブも寿退社だと勝手に経営者に宣言したんだ。」
仲の良さそうな二人を見てハジメとタカも安心したようだった。
「今まで傑は誰ともステディな関係にならなかった。俺がいたからかな。やっと俺を超える相手が見つかったって事か?」
ハジメが言った。
タカヒロが
「ハジメ、失礼だよ。」
心配そうに言う。
「いいんだ。私はずっとハジメが好きだった。
もう小さい子供の時から、ハジメに依存して育ったようなものだ。」
不安そうな礼於を抱き寄せて
「でも、礼於が軽々とハジメを超えて行った。
私の孤独を消してくれたんだ。
どんな男達も出来ない事を、礼於が簡単に超えたんだ。おいで、礼於。」
傑に呼ばれてその胸に飛び込む。
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