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第17話 龍

「ボクのためにごめんね。もう元には戻せないよ。一生傑だけを愛するからね。」 「礼於は大袈裟だなぁ。 礼於以外、誰にも見せないから気にするな。 愛してるよ、お前だけ。」  裸で抱き合って背中の龍が淫靡に動く。 「はあーっ、どうしていいかわからない。 傑が好きすぎて。」 「可愛い事、言うなぁ。」 「バー高任」にグレースと彫武がやって来た。 「いらっしゃい。」 「おお、スグル、一度来たかったのよ。 タケも連れてきたよ。」  傑の龍を彫ってくれた彫武は、意外と若い。2代目なのだ。まだ、30代だろうか、優しげなイケメンだが全身に墨が入っているのが窺える。  後ろはうなじまで。袖からも、手首まで入っているのが見える。 「傑さん、その後どうですか?」 和彫りの龍のことを訊かれているのだろう。 「大分落ち着いて来ました。もう腫れも引いて綺麗な龍ですよ。」 グレースが 「礼於はどう?肩のタトゥーは?」 「うん、大丈夫。傑のと違ってカラフルだから、見てても楽しいよ。」  しばらくお酒を飲んだ。彫武は酒豪らしくウヰスキーをストレートで飲んでいる。 グレースが 「ノイリープラットある? あったらそれでマティーニを作って。 ジンは、うーん、ボンベイサファイアで。」  傑がステアしたマティーニを、冷やしたカクテルグラスに注いで、レモンピールを搾りかけてピンに刺したオリーブを沈めた。 「オー、エクセレント! 美味しいわ。タケは何飲んでるの?」 傑がシングルモルトのアードベッグ・ウーガダールのボトルをこちらに向けた。 「これ、癖が強くて美味いよ。」

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