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第19話 龍③
シャツを着ながら彫武は
「サリナさんって、あのマコさんの娘さん?
だったらウチの先代が入れた墨かもしれない。」
「えっ?サリナを知ってるの?
凄いタトゥーが入ってるんだよ。背中にはマリア様がいて、綺麗なお花の模様が入ってるの。」
「ミト、サリナさんの裸を見た事あるの?」
礼於は不思議そうに聞いた。
ロジが
「サリナは私の秘書だったんだけど、今は結婚しちゃったよ。双子のママだ。
全身に刺青が入っていたな。タトゥーじゃない、本物の和彫りだって言ってたぞ。」
「伝説の女性です。和彫りはもの凄く痛いのに、全身に入れた女性は初めてだ、って先代が言ってました。」
なんだか刺青を見る会、になってしまったようだ。そもそも傑が龍を入れた、という話から始まったのだ。みんなが傑と礼於の刺青を見たいと言い出した。
礼於がシャツを脱いで肩を見せる。
「わぁ、綺麗だね。文字が書いてある。
あ、傑の眼だ。」
「グレースが彫ってくれたんだ。」
さっきから、グレースは笑って見ている。ミトの事も気になるようだ。
「傑のは背中一面、カッコいいよ。」
礼於が自慢そうに言う。傑が脱ぐと
「わぁ、凄い。こんなに凄いの入れたんだ!」
ミトが歓声を上げる。
傑の背中には黒い龍が蠢いているようだった。
「礼於にしか見せないつもりだったのにみんなに公開してしまったなぁ。」
「ハジメには見せた?」
ミトが聞く。
「まだここにいる人にしか見せてないよ。」
「これでハジメと傑も見分けが付くようになったね。」
礼於は絶対間違えない自信があるが、みんなは見分けがつかないのか?
礼於が傑にくっついて離れようとしない。
「ダメ,誰にも見せない約束だったのに。」
泣きそうな顔をしている。
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