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第25話 初めての顔ぶれ

「こちらハジメの従兄弟の傑、そっくりでしょ。 バーテンダーなんだ。そして彼の嫁さんの礼於。  こちらは作家の沼田レイモン。そして恋人の尊。」 「あ、あの沼田レイモン先生。本読んでます。 文章が耽美的で夢のような美しさに、時々不安を煽る棘があって、絶妙に引き込まれる。  先生もゲイだって、本の中には書いてあったけど、実際にゲイなんですね。」  さすが、千賀子さん。BL小説家の卵。レイモンの本は、読んでいる訳だ。 「それから、ドラァグクイーンの小鉄とジョーちゃん。今日は二人共男の格好だけど。  小鉄はジョーちゃんの嫁になったので、ジョーはドラァグクイーンを卒業しました。」  みんなが驚きの声を上げる。 「えーっ、もうジョーさんのドラァグクイーン姿,見られないんですか? 写真集に収録されているのが最後ですね。」 時枝がさも残念そうに言っている。  ジョーが小鉄の肩を抱いて、大切そうに頬に口づけをした。 「きゃー、素敵!」 「傑さんと礼於さんも素敵なカップルですね。 ミトちゃんもタカさんも美人だと思ってたのにここにも美人が増えている。」 「ゲイの人って顔が命、なの?みんなイケてる。」 レイモンが 「ゲイになるような男は自意識が高いんだよ。 美しいものが好きなんだ。自分には美しいものしか似合わない、と思っているんだ。もちろん外見 だけの話ではないよ。自分の気に入ったものしかそばに置きたくないね、私は。」  レイモンの言うことにはみんなが同意しているだろう。声を大にして言ったりはしないが。  さっきからニコニコして話を聞いている礼於。 傑の胸に抱かれて幸せそうだ。時々見つめ合って手を握ったりしている。 「あの、今日初めてお会いする傑さんと礼於さん、凄く素敵です。なんか、なれそめとかお聞きしたいんですが。」

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