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第26話 傑と礼於

 傑が顔を赤くして、礼於を見る。礼於が頷いて、傑は話し出した。 「そんなにドラマチックな事もないけれど。 礼於は六本木でホストをやっていたんだよ。  私のバーも麻布だから、わりと近かったんで、たまに飲みに来た。その日も礼於は一人で来て、結構飲んでいた。店を閉める時、ちょうどハジメとタカが入って来て、酔い潰れた礼於を、私の部屋に連れて帰る事になった。どこに住んでるかもわからなかったから。  ハジメが乱暴に肩に担いだんだ。男はこうやって運ぶ、とか言って。  1週間くらい居つかれ、礼於は突然姿を消した。自分の家に帰ったんだろうと、少し寂しかったがあまり気にしなかった。  ひと月ぶりに私の部屋に来た礼於の肩にタトゥーが入っていたってわけだ。」 「礼於は六本木一のホストクラブの、しかもナンバーワンだったから、それはそれは大騒ぎだったんだ。傑はのんびり屋だから、気がついてなかった。」 ハジメが言う。 「店のオーナーに脅かされたり、大変だったけど、傑と礼於はそれをらくらくと超えて行った。 全く動じない二人の絆が出来ていたようだ。  私の所にも聞こえて来るほどの騒ぎだった。」 ロジも証言する。 「それで、アッケラカンと二人は結婚宣言をしたって訳。妬けちゃうよね。」 ミトまでそんな事を言っている。 「それから、二人で誓いのタトゥーを入れたんだよ。 傑のは本気の和彫りだ。凄いよ。見せてもらおう。」 タカが二人に頼んでいる。

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