27 / 200
第27話 愛の証
二人でシャツを脱いで、みんなに見せた。
セクシーな黒い龍。礼於を抱くように彫られている。礼於は右肩から手首まで入っている。
「凄い龍!あ、礼於のは、傑の眼だ。
龍が大小でお揃いだね。」
二人並ぶとその凄さがわかる。
「もう、堅気には戻れないな。」
「ハジメ、それはないだろ。私と礼於の愛の証だ。ヤクザじゃないよ。」
みんなわかっている。ゲイは未だ結婚出来ないこの国で、カップルは愛の証を模索している。
「素敵だね。もう別れられないぞ。」
「うふふ、覚悟は出来てる。死ぬまで傑と一緒にいるんだ。」
傑に抱かれて礼於が可愛くなっている。
あの奥の老人達にも挨拶しなければ、と傑と礼於は出かけて来た。あの倶楽部。
ハジメとタカも来ている。ミトとロジも遊びに来た。相変わらず、煩くて、華やかで楽しい空間だ。反社の巣窟にならないのは、ここが独特の人脈で成り立っているからだ。普通に遊んでいる客は気づかない。
「今日は嫁を連れて来ました。」
傑が挨拶に来た。
「この前一緒に来た時は、まだ気持ちが固まっていなくてご挨拶が遅れてしまいました。
礼於、です。」
礼於もぺこりと頭を下げる。
「円城寺ってのに使われてたんだな。
大丈夫か?キズモノにされなかったか?」
「えっ?円城寺さんを知ってるんですか?
ディアボラを。
ボク、全然大丈夫でした。大事にされてたと思います。」
ともだちにシェアしよう!