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第31話 ディアボラ

 ディアボラの今の状況を聞いて驚いた。礼於がいた時は菫ちゃんが太客でレオンを支えてくれた。レオン一人だけではなく、ディアボラを支えていると言ってもいい位、貢献してくれた。  菫ちゃんが紹介してくれるお客さんも上品な女性社長や女性実業家、女性作家や著名人ばかりだったから、店全体が品のいいサロンのようだった。恋愛は自由だが、枕営業などは暗黙の裡に御法度になっていた。安心して働けるホストクラブだったのだ。  新宿あたりで問題になっている、家出少女に高い料金をふっかけ、莫大な売掛金で、払えないと風俗に落とす、そんな店ではなかった。 「みんな寂しいんだよ。寂しさに付け込んで、高い料金を売り掛けにして縛るのはホスト個人だけが悪いんじゃ無いんだ。」  淳が言った。 「店のシステムがそうさせる。心優しいホストは鬱になって、辞めて行く。いくら心を込めて接客しても、お金が取れないとオーナーが許さないから。ホストはお客さんの売掛を背負い込んで、結局、プロのキリトリに肩代わりさせるんだ。」 「キリトリって、集金専門のヤクザだよね。」 礼於も話には聞いた事がある。ディアボラには関係の無い世界の事だと思っていた。  今のディアボラは営業方針がガラッと変わって 高い料金を払わせるために,シャンパンタワーとか、ドンペリ1ダースとか、を無理矢理注文させる。菫ちゃんも来なくなり、評判の落ちた店には太客も途絶えた。  フラフラ遊んでいる世間知らずの若い娘を騙して客にするような場末のクラブのようになってしまった。

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