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第32話 淳と零士
「円城寺さんがそんな事、やらせてるの?」
「そう、バックに反社が居るんだよ。
ヤクザの方がまだマシだ。一応ヤクザは見栄を張るからね。飲み方はきれいだ。
反社って言われてるのも、色々いるけれど、共通してるのは、なりふり構わないって所。
カッコつける気もないから、平気で酷い事をするんだよ。」
淳の言葉に零士も
「店の中で大声出して、円城寺さんを殴り倒したりするんだ。見せしめだって。」
「なんでそんな事になってしまったの?」
レオンがいなくなって円城寺はカッコつけるために、売り出し中の若いアイドルを集めて派手に宣伝したらしい。高いギャラと宣伝費。
前からいたホスト達は露骨に差別した扱いにほとんど辞めてしまったという。
「前からいるのは、俺たちとあと2.3人だけ。
礼於が知ってるメンバーは、ね。」
若いタレントのたまごもだんだん減って今は5人位だそうだ。彼らは約束が違うと言って雑な接客をしているそうだ。
お客さんも常連は来なくなり、反社がらみのキャバ嬢や風俗嬢、家出少女が増えたらしい。
六本木らしい垢抜けた店ではなくなったと言う。円城寺はかなりの借金を作ってしまったようだ。
奥の老人、の言った
「この国ではもう商売は上手くいかないだろう。」
と言う言葉が本当になってしまった。あの時ご老人を怒らせたからなのか?
「淳と零士は辞めないでね。ボク、菫ちゃんに相談してみるよ。」
「うん、レオン、じゃなかった、礼於、に聞いてもらって良かったよ。俺たちディアボラに愛着もあるんだ。ま、頑張れる所まで頑張る。」
傑が言った。
「私の知り合いに当たってみるよ。
少なくとも、店で反社の奴らが暴れるなんて許せないからね。」
礼於が
「傑、男前!」
と言って抱きついた。
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