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第34話 ディアボラ
「いらっしゃいませ。早速来てくれたんだね。
嬉しいよ。何を召し上がりますか?」
零士が聞いてくれた。ボクは懐かしくなって
「うふふ、ボク、シェリーにする。
ボトルで貰うよ。」
「ティオペペでいい?前はマンサニーチャとか、数種類あったんだけど。
今、店のお酒、品揃えが少ないので。」
淳が申し訳無さそうに言った。
藤尾さんは
「俺はやっぱりウヰスキーを貰おうか。ジャパニーズウヰスキーだな。竹鶴あるか?
深谷にノンアルで何か頼もう。」
「傑は何飲むの?」
「私はジンバックで。ゴードンがあれば。」
ニコニコして零士がオーダーを通しに行った。
飲み物が揃ったところで、円城寺が来た。
「どう?まだ潰れて無いよ。
あざ笑いに来たんだろう。」
傑に向かって挑発する。ドライバーの深谷さんの顔色が一瞬で変わった。殺気を感じる。
藤尾さんがそっとその手を叩いて笑った。
「若いもんは血の気が多くていかんなぁ。」
傑が
「ウチの礼於が、懐かしいから来たいっていうのでお邪魔しました。立て込んできたら、帰りますから。」
「この頃はお茶っぴきが多いんだ。お客ゼロの日もある。帰らせるほど混雑はしないよ。
六本木でも一等地の店で、家賃も馬鹿にならないんだが。」
円城寺の愚痴を聞きに来た訳ではない。かなり困窮しているようだ。
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