34 / 200

第34話 ディアボラ

「いらっしゃいませ。早速来てくれたんだね。 嬉しいよ。何を召し上がりますか?」 零士が聞いてくれた。ボクは懐かしくなって 「うふふ、ボク、シェリーにする。 ボトルで貰うよ。」 「ティオペペでいい?前はマンサニーチャとか、数種類あったんだけど。 今、店のお酒、品揃えが少ないので。」 淳が申し訳無さそうに言った。 藤尾さんは 「俺はやっぱりウヰスキーを貰おうか。ジャパニーズウヰスキーだな。竹鶴あるか? 深谷にノンアルで何か頼もう。」 「傑は何飲むの?」 「私はジンバックで。ゴードンがあれば。」 ニコニコして零士がオーダーを通しに行った。  飲み物が揃ったところで、円城寺が来た。 「どう?まだ潰れて無いよ。 あざ笑いに来たんだろう。」 傑に向かって挑発する。ドライバーの深谷さんの顔色が一瞬で変わった。殺気を感じる。  藤尾さんがそっとその手を叩いて笑った。 「若いもんは血の気が多くていかんなぁ。」 傑が 「ウチの礼於が、懐かしいから来たいっていうのでお邪魔しました。立て込んできたら、帰りますから。」 「この頃はお茶っぴきが多いんだ。お客ゼロの日もある。帰らせるほど混雑はしないよ。  六本木でも一等地の店で、家賃も馬鹿にならないんだが。」  円城寺の愚痴を聞きに来た訳ではない。かなり困窮しているようだ。

ともだちにシェアしよう!