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第47話 傑と礼於

「大丈夫かい? 店、今日は休んでもいいんだよ。」  悪夢を見て泣き出した礼於が心配だ。PTSDというのだったか、そんなトラウマを抱えている事も知らず,礼於を抱いてしまった。いや、毎日のように激しく求めてしまった。 (私は自分の欲望を優先してしまった。そんな自分にゾッとするよ。)  礼於の髪を撫でながら 「私に触られるのは嫌がらなかったね。 我慢してたのか?拒否してくれて構わなかったのに。」  礼於が潤んだ瞳をこちらに向けて、ジッと見つめてくる。 「傑はもうボクなんか触りたくない、でしょ。ボク汚い。」  愛しさに抱きしめてしまう。 「バカだなぁ。礼於は私の宝物だ。壊さないように大切に扱うよ。」  その唇を貪る。こんなに愛しい。 「私とするのは嫌じゃなかったのか?」 「うん、自分でももう過去の事だと思ってたんだ。夢に見るなんて。悪夢。気持ち悪い。 傑に抱かれる度に身体が浄化されていくような気がしてた。 ボクは汚れてない、って。」 「もちろんだよ。 礼於の身体を私でいっぱいにして。 心も私でいっぱいにしてくれ。」 なんだか、ガキの恋愛ごっこ、のような言葉を吐いてしまう。  違う,違う、そんなものじゃない。 (純愛だよ。) 「傑だけ!ボクがホントに愛したのは傑だけだ。」  二人で刺青まで入れたのに、不安は消えない。 恋人たちはいつも不安を抱えている。それが恋だから?恋が愛に変われば安心なのか? 「こうして私の胸の中に抱きしめて、いつも離さないでいられたらいいのに。」 「傑、愛してる。」

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