「ちょっと、集蔵、コラッふざけんな。 あたしを置いて男と結婚って、何よ！」 凄い美人が絡んできた。かなり酔っているようだ。片桐さんが 「これはこれは、『銀座花包み』の千堂ママ。 大分召し上がりましたね。」 「ああ、片桐さん、集蔵はあたしのものだって言ってよ。ずっと集蔵に操を捧げて来たのに、男と結婚するなんて！」 藤尾さんは優しく肩を抱いて千堂ママを慰めている。 「ママ、これが名都、俺の嫁だ。 色々教えてやってくれ。」 名都を紹介した。 「あらっいい男。 もう、いい男はみんなゲイなんだから。」 　どこかで聞いたセリフだ。 向こうから菫ちゃんが来た。女性経営者の親睦会で知り合いなのだ。 「千堂ちゃん、同感よ。 いい男はみんな持ってかれちゃうのよ。」 　藤尾さんは苦笑いしている。 「集さん、オレ、あんないい女と張り合える気がしない。後悔してないですか？」 深谷の不安そうな顔がまた可愛いと、頬を抓る。