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第76話 チモ
ハジメがタカと仲良く話し込んでいる。
「タカ、大丈夫か?今日は疲れたろ。」
「うん、大丈夫。
でも、早く帰って二人になりたい。」
そこへホストの零士が呼びに来た。
「ハジメさん、なんかお客さんが来てるけど。」
見るとなんだか痩せた眼光鋭い男がいる。
「チモ!チモじゃないか!日本に帰ってたのか?
元気だったか?」
ミトもこちらを見て気づいたようだ。
「あ、ネパールで会った人だ。
ロジ、ハジメとネパールで会った人だよ。
ジェロニモの弟だって言ってた。」
ロジも驚いている。
「久しぶりだな。
俺,死んだと思ってただろ。姫は死んだよ、俺と暮らしてた女。」
「そうか。可哀想に。
チモは日本に帰ってたんだなぁ。
なんで今日はここにいるんだ?」
「俺、謝りたくて探したんだ。」
ハジメはチモをハグした。懐かしいジェロニモの匂いがした。何年経っても忘れない。
ハジメの初めての男。その弟が何故?
「ネパールでは迷惑かけたな。カトマンドゥまで来てくれたのに。おまえが色々掛け合ってくれた事は後で知ったんだ。親父も感謝してるよ。」
ハジメは涙ぐんで
「生きてて、良かった。本当に生きてて良かった。」
ハジメが泣いている。タカは初めて見たハジメの涙にすっかり動揺してしまった。
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