76 / 200

第76話 チモ

 ハジメがタカと仲良く話し込んでいる。 「タカ、大丈夫か?今日は疲れたろ。」 「うん、大丈夫。 でも、早く帰って二人になりたい。」  そこへホストの零士が呼びに来た。 「ハジメさん、なんかお客さんが来てるけど。」  見るとなんだか痩せた眼光鋭い男がいる。 「チモ!チモじゃないか!日本に帰ってたのか? 元気だったか?」 ミトもこちらを見て気づいたようだ。 「あ、ネパールで会った人だ。 ロジ、ハジメとネパールで会った人だよ。 ジェロニモの弟だって言ってた。」 ロジも驚いている。 「久しぶりだな。 俺,死んだと思ってただろ。姫は死んだよ、俺と暮らしてた女。」 「そうか。可哀想に。 チモは日本に帰ってたんだなぁ。 なんで今日はここにいるんだ?」 「俺、謝りたくて探したんだ。」 ハジメはチモをハグした。懐かしいジェロニモの匂いがした。何年経っても忘れない。 ハジメの初めての男。その弟が何故? 「ネパールでは迷惑かけたな。カトマンドゥまで来てくれたのに。おまえが色々掛け合ってくれた事は後で知ったんだ。親父も感謝してるよ。」 ハジメは涙ぐんで 「生きてて、良かった。本当に生きてて良かった。」 ハジメが泣いている。タカは初めて見たハジメの涙にすっかり動揺してしまった。

ともだちにシェアしよう!