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第82話 バー

 みんなたくさん食べ、飲み、大満足だ。解散してそれぞれの部屋に引き上げる事にした。  ハジメはタカを連れて地下のバーへ行った。チモが待っていた。 「やあ、ごちそうさま。素晴らしい料理だった。 このホテルもすごいね。 何から何まで、センスのいい、上等な物で設えられている。チモのセンスか? 」 「ああ、本当はこういうのが好きなんだ。 いろんなものを見る目には自信がある。」 「内装にも凝っているね。クラシックな感じもいい。一緒に来た俺の従兄弟もバーをやってるんだ。呼んでもいいか?」 「もちろん。内線で呼ぼうか?」 「ああ、じゃあ、みんな呼ぶよ。」 みんなに内線電話で声をかけた。ロジとミト、傑と礼於、が来るという。レイモンと尊、小鉄とジョー、藤尾さんと名都、の3カプは、もう疲れたから今夜は失礼する,とのことだった。 「ところでチモは一人ものなのかい?」 ハジメの問いかけに 「ああ、姫が死んで、もう誰とも付き合えなくなった。恋愛に興味がわかない、」 「チモって俺と同い年だよなぁ。」  傑と礼於、ロジとミトが来た。みんなでカウンターに座る。チモがカウンターの中に入った。  ベテランらしい年配のバーテンダーが飲み物を聞いた。 「傑の店ではシングルモルトがおすすめなんだよ。ここは何がおすすめ?」 ハジメが聞いた。 「ここは、近くにジャパニーズウヰスキーの蒸溜所がある。店頭には出さないニューポットをウチにだけ卸して貰ってる。」  カウンターに小ぶりな樽がいくつかならんでいる。 「有名な『Y』や『H』の原酒があの樽に入っている。ニューポットをあの樽で熟成中だ。  非売品だけど飲んでみるかい?」 傑が是非とも飲みたい、と言った。  ティスティンググラスに『Y』をもらってみんながストレートで飲んでみる。 「チェイサーに常温の水をください。礼於は半分水を入れてトワイスアップにしてもいいし。」  珍しくロジもグラスを手にしている。運転が無いからか、リラックスしている。 「なんか、色が薄いね。」 「ニューポットだから。最初は透明で、熟成されるとだんだん色が濃くなって来るんだ。」 バーテンダーが笑って 「よくご存知ですね。」 「アイラ島で少し勉強しました。」

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