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第85話 ジャンキー
ある日、
「俺,インドに行くわ。
ガンジャやり放題だって、先輩が言ってたから。
おまえも行く?」
嫌も応もない。父親に黙って、従兄弟の傑に金を借りて,インドについて行った。
ジェロニモはセックスの時以外、全く優しくない。それでもついていった。
バラナシでジェロニモはジャンキーになった。
「ハジメ、俺、生きる事に興味持てないんだよ。
別に死にたいとも思わないけど。
なんで生きなきゃいけないんだろうね。
薬(ヤク)キメてる時だけ生きてる気がする。」
もっともっと強い薬が必要になった。毎日ヘロインを打つ。不潔な注射針を平気で使い回す。
もう目が死んでいる。
ハジメもガンジャからハシシュに変わって、もう立派なジャンキーだった。ヘロインは怖い、と思っていたが、手に入るなら、何でもいいような気がしていた。
安宿に住み着いて、部屋でスピードを炙る。いつも部屋は煙が充満している。それでも足りない、と、コカインを鼻から吸入して、もっと効きそうな薬を探しに行く。怪しいMDMAも売人から買って、バリバリ噛み砕きながら、また、町を彷徨い歩く。
麻薬マーチ。次々に手を出す。ジェロニモはLSDにも手を出した。甘い角砂糖に染み込ませたLSDを噛み砕いて、幽霊のような目をして嘔吐した。
「ジェロ、行かないで!置いて行かないで!」
ジェロニモは両手両足の血管を切って、両目をナイフで刺して潰した。
ハジメはいつも声をかけてくれるNGOのマコチンを呼んだ。声を限りに叫んで、隣の部屋の男がマコチンとメドウズを連れて来てくれた。
アンビバレンス、救急車を呼んでくれた。
ジェロニモは死んでいる。一目見ればわかる。
ハジメは、血だらけの部屋の隅で震えていた。
裏NGOのマコチンがサルベージした。表沙汰にしないで。
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