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第87話 墓

傑と礼於も部屋に引き上げた。 ハジメは、チモの手を握り、 「いつか、ジェロニモの墓参りに行きたいんだ。 ジェロは俺の髪を愛してくれた。いつも触ってたから、長く伸ばしたんだ。  ジェロがいなくなっても切れなかった。 でも、日本に帰って来て父親に会う事になった時、思い切って半分くらい切った。  それをジェロの墓に捧げたい。小鉄が切ってくれて,今でも保管している。  墓参りさせてくれ。」 チモが困った顔をしている。 「墓はないんだ。 丸山家の墓はあるけど、親戚が、自死した者を墓に入れるな、って言って、ウチにお骨が残ってる。」 「じゃあ、散骨したい、海に。ジェロがいつもそんな事を言ってたような・・」 「うん、親父に相談しておくよ。 おやじは理解あるけれど、何せ、田舎だから親戚一同が、発言力を持っている。うるさく口を出す。兄貴が死んだのもそのせいだよ。」  ハジメもタカと部屋に戻った。 「大丈夫?なんか色々衝撃的だったね、今日は。」  タカを抱きしめた。 タカはハジメの髪を触る。切ったと言っても肩まで伸びている。 「オレもハジメの長い髪好きだ。」 一つに結んでいた髪をほどいてタカが指で梳く。

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