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第92話 傑と礼於

 傑と礼於。温泉から帰ってきて、ますます愛が深まった気がする二人だった。 「ボクたち、新婚なのかな?  なんか、照れるなぁ。」  部屋の中でも片時も離れない。いつも手を繋いでいる。傑が礼於を離さないのだ。 「傑がタバコを吸ってるその指がきれいだ。」 「面白いところを見てるね。」 礼於が、肩に寄りかかってキスをする。 「タバコの匂い。男っぽい。」 傑の長い指がタバコを挟んでいる。 「カッコいいなぁ。パソコンを操作してる時もカッコいい。その手が好き。」 店の売り上げなどを入力している傑を、ワクワクしながら見ている。  仕事に集中している傑を見て、 「ボクの事、忘れてない?」 傑は笑って礼於を見た。 その大きな手で抱き寄せてキスが深い。 「傑、大好き、愛してる。」 「礼於は、いつもそう言ってくれるけど、飽きないか?」 「飽きるわけない。 こんなに好きなのに、わかんないの?」 猫のように擦り寄って離れない。  どれどれ,という感じで抱き寄せて 「今夜は、バーは休みだから、出かけるか? あの倶楽部に挨拶に行ってなかったな。」 「うん、お散歩がてら、行こう!」  二人で出かけて来た。日曜日はバーは休みだが、あの倶楽部は、やっている。  フルメンバーではないが、年中無休でやっている。誰かしらスタッフが来ている。  緩やかにのんびりと、しかし確実に倶楽部は開いている。お客様のためでもあり、身内の連絡もある。

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