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第96話 痛快⁈

「何ですか?あなた方。怖いなぁ。 俺はここで気持ちよく飲んでるのに、凄まれてるような気がするぞ。」  傑が 「他のお客様に絡まないでください。 藤尾さんたちは何召し上がりますか?」 「え、藤尾さんて、あの藤尾さん?」 どうやら藤尾さんの名前だけは知っているようだ。 「藤尾なんてどこにでもある名前だが。 あんた感じ悪いなぁ。何者?」 藤尾さんが謙虚に言う。本当の藤尾さんを知っていたらこんな事は言えないはずだ。  名都が礼於と話している。礼於は泣きそうな顔をして名都に何か話している。小さな声で 「傑の愛人だって。ミカドさん。いまでも、傑が好きなのかな?ボクじゃダメだ。」 ミカドを見て、 「おまえ、どんだけフカシてんだよ。」 名都が怒ってくれた。 「えっ?何の事?」  名都は礼於から聞いた簡単ないきさつを藤尾さんに耳打ちした。藤尾さんは静かな声で、 「ミカドって言ったか? 俺はゲイ界隈のことに疎いんだが、 あの倶楽部で商売してるんだろ。 客を選べよ。爺様たちが、なげくぞ。」  ミカドが 「寺ちゃん、びしょ濡れ。 マスター、そこのガキに謝らせてよ。」 傑がタオルを渡した。ミカドは調子に乗って 「こんな店、潰すのは簡単なんだよ。 アタシはあの倶楽部でも一流を張ってる。 舐めんじゃないよ。」 「うるせえ蝿だな。どうする、名都?」 「出禁でしょうか?」 「おまえ、ぬるいなぁ。」

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