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第99話 呉碧雲
「おまえ、こんな所にチクりに来て大丈夫なのか?名前は?おまえの名前も知らないぞ。」
「呉碧雲。ウーピーユンって言うんだ。でも日本では、呉碧、クレ・アオって言ってる。
アオ、いい名前でしょ、アオって呼んで。」
情報を洩らしたから、自分は殺される。だから、ここで匿ってほしい、というのがアオの頼みだった。
「どうします?集。」
「部屋住みは、ちょっと邪魔だなぁ。
俺たちがイチャイチャ出来ない。」
藤尾は時々、面白い事を真面目に言う。
「とりあえず、しばらく匿ってやろう。
周りは新婚ばかりだから、暇な一人者を探して面倒見させよう。 ご老人にもリーの事は報告しなければならないだろう。
手打ちになるか、出入りになるか。」
藤尾は安全で信頼できる人間を一人思い出した。
「そうだ、片桐に頼もう。」
「アオ、絶対安全な所へおまえを連れて行く。
おまえのことも見張らなければならないからな。
まだ、おまえを信用出来ないんだよ。」
新宿桜会の組長代行、片桐。アオを頼む事にした。連絡すると早速迎えが来た。
「アオ、おまえは俺を殺しに来たこともある。
どんな目にあっても仕方ないんだぞ。」
因果を含めて片桐にアオを託した。
震えているアオを片桐の代理の者に渡した。
「片桐さんから聞いています。大切にお連れするように、と。」
不安そうな目をしてアオは行った。
藤尾は自分の都合でアオを邪魔に思った事を少し後ろめたく感じたが、いつも、名都を抱きたくて、抱かれたくて、その気持ちを優先した。
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