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第104話 奥の老人

 藤尾はあの倶楽部にいる。名都をつれて奥の老人に会いに来た。 「この前は、こいつとの披露においでいだだき、ありがとうございます。」 「ああ、楽しかったのぅ。ゲイばかり6組の合同披露じゃ、壮観だった。  今日の話は、男娼のミカドの事じゃな。」 奥の老人、は情報が早い。 「こっちでわかっているのは、ミカドの客がイキって藤尾の正体も知らずに絡んだ事じゃろ。しかも恥をかかされた、と藤尾に何か仕掛けて来てるんじゃろう。」 「ああ、やっぱりご存知でしたか。 以前、名都を刺したチャイマのガキが、直接、俺んとこにタレ込んで来たんです。」 簡単にいきさつを話した。 「高任の店で、ミカドが連れて来た客が調子に乗って揶揄うので礼於が水をぶっかけたんです。」 「根に持たれて、おまえがねらわれたのか。 調べさせたら、芸能事務所の経営者で寺田という男らしい。」  圧力をかけて、その芸能事務所を潰してもいいが、少し面倒なことになっている、という。  寺田はチャイマに泣きついたらしい。チャイマとしては二度目だ。コチラは簡単なワビで許すわけにはいかない。李がどんなワビを入れるか、お伺いを立てに来たという。  互いのメンツの事など知らない下っ端が後先考えずに突っ走った。チャイマも引くに引けなくなっている。 「どうする、藤尾。」 「ご老人も人が悪い。ガキは桜会の預かりになってます。」 「大事になるならわしらも考えるが、小競り合いなら藤尾が収めろ。」 「は、わかりました。」 「所で、何か色っぽい話は無いのかのぅ?」 小鉄が飛んで来て耳打ちした。 「今夜はハジメとタカが来るらしい。傑と礼於も呼ぼう。おまえたちも遊んで行け。」

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